なんだか…〜女主視点〜 ページ16
『…空さん私が記憶ないこと知ってたのかな？』
さっきまで彼がいた場所を見つめてそう呟く
でも誰も言ってないはずだからさっき気付いたのか…
せっかく鍵持ってきてくれたのに、ちょっと無愛想すぎたかな
それにしても空さんの首の傷…くっきり残ってた
なのに気にしないでだなんて…
『空さん、いい人なんだ…』
今まで私が露骨に避けすぎていたのかもしれない
ちゃんと部屋にあげてあげればよかった
もうちょっと話したかった…かな
私が忘れてること知れるチャンスだったし、それに…
『ナノさんに殺されそうになった…か』
私が覚えているのは１年前からの事だけ
それ以前はまったく覚えてない
ナノさんともなにかあるとは思っていたけど
『まさか…そんなことがあったなんて…』
ビックリはしたけど、その他の感情はあまりない
だってそれまでの関係を知らないから…怨むも悲しむもない
『あー…なんかもっとわからなくなってきたなぁ』
空さんとは少し話してみたいとは思った
でも彼のそばにはナノさんがいる
『ぁ…ナノさんはお兄さん、だったっけ？』
そんなことさえも曖昧だ
歌詞さんに聞いてみようかな
そう思って携帯を取る…とメールが一通入っていた
『歌詞さんからだ』
内容は…
[空に家の場所教えた ごめん]
それだけだった
謝らなくてもいいのに…歌詞さんほんとに心配性
それに返信を送る
［大丈夫ですよ！ それと一つ聞きたいんですが、空さんとナノさんは兄弟なんですか？］
『送信っ…と』
なんだか一日でいろんなことがあった
もう気持ちがついていけなくなりそうだ
『あ、寮の鍵…』
空さんが持ってきてくれた鍵
ということは寮に行かないといけないのか
先生になんて言われるのかな…
『なんか私落ち着いてる…？』
少し前まであんなに悩んだり泣いたりしていたのに…
『…学校、行こうかな？』
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