飽く迄も一般人を貫き通す-参-

漆拾玖 ページ3

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「……あ、そうだった！

すっかり忘れてたんだけど」

『どうしたの？』

「お父さん、明日帰ってくるんだって！」

『……え？』





……お、お父さんが？

あのお父さんが？





『えぇーっ！！

お父さん帰ってくるの！？』

「中々の大声ね！」

『明日？ まじか、帰ってくるのか！』

「それでね、お母さんこんな状態でしょう？

貴女もちゃんと家に帰るのよ？」

『もちのろん！』




……ん、家？


我が家へ？




待って、これって私だけの問題じゃ……




ま、いいか

何の為に最近頑張ってるのよ私





『判った、お父さんは任せてチョンマゲ』

「ああ、早く逢いたいわねぇ」

『ラブラブ莫迦夫婦だもんね』

「もぉ、やぁだ恥ずかしい！！」

『ごふッ』





母の照れの鉄拳が私の鳩尾に決まったところで


母は私を、そっと見つめた。






『……何？

上目遣いしても何も買ってあげないけど』

「いや、貴女もナカハァラさんとそんな仲になるのかしらって」

『ぶふーーッ！！』




盛大にトマトジュースを吹き出す私





『そ、そ、そんなんじゃないから！』

「あら？あらあらあら……

そんな可愛い反応しちゃって！」

『セクハラババア！！』

「母になんてこと！！」

『あっ！』






感情が高ぶって、私はカーテンをうっかり燃やしてしまった

慌てて水で消すも、半分を焼失



やべえ、怒られる


……お母さんが。







『……こ、此の辺で今日は帰るね！！？』

「え、早くない！？

未だ夕方よ！？」

『じゃあ！ 近い内に来るから！』






私は咄嗟に走り出した







看護師「ちょっと有島さん！！

カーテンどうしたんですか！！

それにベッドに赤い染みが……！！

血ですか、出血しましたか！？」

「怪我したドラゴンが飛んで来たのよ」

看護師「あの、精神科勧めますよ？」




……ああ、聞こえるわあ。




『かーえろ、かえろ

おうちにかえろー』




ま、帰っても報告書だとか

あるんだけどね。









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