捨てられない恋【ars K.N】END. (ページ15)

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「あ、ここが二宮くんとこの？」
「うん。中で写真展示してる」

　一通り校内回って、いよいよフォトサークルの展示室。

　さすがにここでは手、離すか…雅紀と潤くんに冷やかされそうだし。…ていうか、

(見て潤くん)
(やべー！アイツ女連れてる！)

　すでに冷やかしの視線が刺さってんだけどね。

「ねぇ、二宮くんの作品は？」
「こっち」

　自分の作品好きな人に見られるって少し照れる。
　でも。

「わぁ…綺麗…」

　両手合わせてそんなうっとりされたら、

「ね、綺麗でしょ」

　俺もまんまと自惚れて。
　マスターにボロくそ言われた事も無かったことになる。

「え………"２点"？」

　Aさんは作品名に目を見開いた。

「そ、２点」
「どうして？」
「マスターに言われたから」
「大野くんに？えぇー…ひどい」
「まぁ、適当に撮ったのがバレバレだったっていうか」
「適当に？そうなの？」
「うん。だからAさんに綺麗って言ってもらえて…ちょっと救われたかな」
「全然適当に撮った写真には見えないけどなぁ。それに、」

　写真を眺めながらAさんは一呼吸置いた。

「夕暮れの遊園地ってなんだか切なくて……好き」

　 " 好き "

「俺も………好きだよ」
「え？」
「あ、ううん…」

　Aさんの口から、"好き"って言葉。
　それが俺に対してのものじゃ無くても、聞いただけで自分の心が暴走しそうだった。

　ていうか言ったよ、俺。
　好きって。言ってしまった。

　そういえば俺はいつこの人に想いを伝えんの？
　計画性もないまま思いつきで彼女を誘って、手とか繋いだりして…いつこの想いを……

「あれ？ねぇこの場所って…」

　いや、この想いは伝えられないんだ。
　伝えちゃダメなんだよ。
　また忘れてた。

「あぁ…Aさんがプロポーズ受けた遊園地だよ」

　彼女には、婚約者がいるってこと。