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Aの隔離生活が終わるまであと2日に迫った朝。
まだ梅雨にも入らないのにあいにくの雨だった。

けれど小雨。
Aはまるで魂が抜けたようにベッドの上に座っていて、開きっぱなしの窓から背中に当たる雨粒にはまるで感じていないようだった。

「ふくさん…に早く言わないと、、。別れてくださいって。もう無理しなくていいよって」


ベッドから放り出した足。解かさない髪。乾燥した唇。涙が出ない目。

それら全てが興味を失ったことの表れのようで、
もう目にハイライトは入ってない。

ヴーっと手のひらでスマホが鳴っていた。
それにも気づかないようでやがて止んだ。

数分後にスマホを見ると、着信の元は須貝だった。
『不在着信』というマークと共にメッセージが送られている。


須貝駿貴Aちゃん大丈夫?

須貝駿貴ひとり辛いよな…あと数日ファイト👍


Aはコロナになってから福良のことしか考えてこなかった。
それもあってか、他の人からの連絡に身を委ねたのかもしれない。

気を張って強張った緊張の隙間に、スッと光が入ってくるようだった。
Aは久しぶりに福良以外のこと考えた。







チェックアウトをして、ホテルの外を出た時、あいにくの雨に空をひと睨みした。
灰色の空から降ってくる雨が伊達眼鏡を通り越えて目元に落ちる。
けれど構わず走り出す。自分の家に向かって。

手には焦りで汗が滲んでいる。
あぁ、早く帰りたい。あの家に。

昨日の伝言を脳内再生すると、Aちゃんが頭を駆け巡って、身体が熱くなる。
感傷に浸ってしまって目の淵に涙が出て、丁度当たった雨水が当たって頰を流れた。

蒸した空気に身体の暑さがプラスされて余計不快だ。
家への道のりを考えるだけで不快だ。

早く帰りたかった。

俺の言った言葉を謝るより、

もっと、

ずっと、

前からだったんだ。


ずっと謝らなければいけないことだらけだったんだ……








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ピーチフラペチーノ(プロフ) - 林檎さん» わ~!ありがとうございます(๑>◡<๑)どうぞディスタンスカップルを引き続きお楽しみください♪そう言ってもらえると更新の糧になりますᕦ(ò_óˇ)ᕤ (2022年12月23日 0時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 好きすぎますッッッ‥!!!ふくちゃんもfkrさんも頑張って、! (2022年12月22日 22時) (レス) @page16 id: 4ad8b0fd3a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピーチフラペチーノ | 作成日時:2022年12月11日 16時

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