___ ページ21
・
今まで触れずにやってきたけど、
いざドア一枚挟んで触れないとなると精神的にくるものがある。
それは2人が1つ屋根の下でひどく痛感していた。
・
ちゅんちゅん…
さえずりだ。
いつもなら、小鳥が起きるずっと前に目覚めてお弁当を作ってるはずなんだけど…。
スマホに電源を入れると表示された時間はもう朝一の会議が始まることだった。
つまりふくさんも出勤済み。
でも誰もいないからといって部屋から出てはいけない。
消毒液とキッチンペーパー持って、トイレまでの道のりで私が触れた部分を消毒する。
パジャマのまま、スリッパですり足で歩く。
キッチンに立たなかった日は久しぶりだ。
支給品の段ボールから缶詰を取り出して直でみかんを食べた。
「…おいしい」
みかんの缶詰の味は知っている。
けれどそれしか考えたくなくて、ただがむしゃらに食べていた。
・
今日はいつもよりも早く出勤した。
なぜなら朝食と昼食がないからだ。
途中コンビニに寄ってカルボナーラを購入した。
星柄のランチクロスは干されたまま。
洗濯物取り込まなきゃ、ご飯作らなきゃ、掃除しなきゃ。
悶々としながら企画書を作っている。
「ふくちゃん、コロナだって?」
片手にコーヒーを持った河村が、そう話しかけた。
「こりゃお前のせいだな」
ニヤッと口角をあげてコーヒーを一口飲んだ。
その顔は俺を責めたり不幸を笑ったのではなかった。
『失敗したな。』
そう俺に共感した顔。
「俺がちゃんと話を聞いていれば…」
「タラレバはよせよ。ほら、今日の収録のUSB。編集班に回しといて」
正直泣きたかった。
誰かのすがりたい気持ちだった。
「ふくちゃん…」
今日は朝ごはんを食べていない。
誰かに見送られてない。
お弁当はない…。
ふくちゃんがいない…。
昨日あんなに泣いたのに、まだ涙が出てくる。
「ごめんね」
・
85人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピーチフラペチーノ(プロフ) - 林檎さん» わ~!ありがとうございます(๑>◡<๑)どうぞディスタンスカップルを引き続きお楽しみください♪そう言ってもらえると更新の糧になりますᕦ(ò_óˇ)ᕤ (2022年12月23日 0時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 好きすぎますッッッ‥!!!ふくちゃんもfkrさんも頑張って、! (2022年12月22日 22時) (レス) @page16 id: 4ad8b0fd3a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ピーチフラペチーノ | 作成日時:2022年12月11日 16時