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俺がいつもにみたいにふくちゃんを励まそうとしたんだ。
眩しすぎるライトで無理やり明るくなる店内が料理の湯気でぼやけた。
その湯気の奥でふくちゃんは目を閉じながら椅子に倒れこんだ。
まるでスローモーションのように。
「ふくちゃん?!ふくちゃん?!」
ただ疲れて寝ただけだと思いたかった。
俺は急いで駆け寄って肩を揺すった。
「…う…ごほっ…」
ふくちゃんは薄く目を開けて、呻き声をあげる。
汗もかいている、
だるそう、
咳き込んでいる。
これは…風邪か?!
いやでも、もしかしたら、ひょっとしたら!!
「コロナ…?」
そう思うと居ても立っても居られない。
冷や汗が急に流れ始めて錯乱している。
店員さんに救急車をお願いして、俺は福良に連絡した。
須貝駿貴ふくちゃんが倒れた!
須貝駿貴風邪症状あり!〇〇病院まで来い!
送信してすぐに救急隊員が入ってきて、居酒屋は騒然とすることとなった。
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救急車にふくちゃんとともに乗った。
大事ではないけど、コロナか風邪かの疲労だそう。
なんだか別人のふくちゃんに戸惑っているとスマホがなった。
福良からだ…
「もしもし、どした」
《あの、Aちゃん大丈夫ですかね。今向かっているんですけど」》
「あぁ、今はもう目覚ましてるけど、風邪以上なのは間違いないな」
しばらくの沈黙が流れる。
《あの、もし…Aちゃんがコロナだったら…》
「おう…」
《Aちゃんと住まないですよね》
少し力のこもった声がスピーカーからしてくる。
ふくちゃんの悩みを聞いたあとだからだろうか…
『私、依存し過ぎてフラれたんです』
『私っ、ふくさんになんてことを…』
『私のせいなんです…しつこかったから…』
消えそうに泣き入るふくちゃんが蘇る。
ギッと、スマホを持つ手に力が籠る。
「お前、そんなにふくちゃんと居たいと思わないわけ」
《え…》
「コロナだったらふくちゃんの気を使わずに生活できると思ってるのか」
《そんなわけっ》
「知らないけど、ちょっとふくちゃんが可哀想」
《待ってくだっ》
「もう病院着いた」とだけ言って電話を無理に切った。
その時スマホを見つめていた俺の顔は驚くほど冷めていたと思う。
そのあとやっぱりふくちゃんはコロナだった。
LINEに『お大事に。何かあったら言ってね』とだけ送って福良ともすれ違わないうちに家に帰った。
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ピーチフラペチーノ(プロフ) - 林檎さん» わ~!ありがとうございます(๑>◡<๑)どうぞディスタンスカップルを引き続きお楽しみください♪そう言ってもらえると更新の糧になりますᕦ(ò_óˇ)ᕤ (2022年12月23日 0時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 好きすぎますッッッ‥!!!ふくちゃんもfkrさんも頑張って、! (2022年12月22日 22時) (レス) @page16 id: 4ad8b0fd3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピーチフラペチーノ | 作成日時:2022年12月11日 16時