【QK】〇〇mディスタンス

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『しつこい』

その言葉１つで元カレの顔がふって来た。
電気のようにバチっとフラッシュバックみたいに飛んでくる。

浮気をされた過去を思い出すだけで涙が出て来そうになる。
未練なんかない。
ただふくさんも彼と同じように離れていったらって…。


…私のせいだ…。
私が…
ふくさんの気持ちを汲み取ってあげないから…。

ふくさんの言葉はそこまで大きくなかったから他の人には聞こえないと思う。
よかった。私のせいでふくさんの好感度が下がったら謝っても謝りきれない…。

背を向けた窓からカラスの鳴き声が聞こえる。
少し掠れたような声は今私が出したい声と同じだった。



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「なるほどね」

現在地、居酒屋
ふくさんの言葉はやっぱり須貝さんには聞こえてたみたいで、
定時ぴったりに帰って飲みに来た。


喉が痛い…。泣いてはいないけど、喉が震えるほど熱くなったのは間違いない。
頭も痛い…。頭を使いすぎたかも。
動きたくない…。何もする気になれない。今日は帰りたくない。


Aごめんなさい…。

A今日飲み会です。遅くなります。

Aご飯好きなもの食べててください


なんだか顔文字を打つ気にもなれなくて、既読の確認をせずスマホを閉じた。

目の前に広がるつくね、焼き鳥、刺身…
豪華だな、こんなの作れてあげられないと勝手に自己嫌悪に陥っていく。


「ふくちゃん、辛かったな」

須貝さんは和む。
アドバイスより先に肯定してくれるからどんどん喋りたくなってしまう。


居酒屋に中は食器音や喋り声、歩く音などが混ざり合って、外の音なんかきこえやしない。
春の気配を感じさせない。


ご飯が進まない…。箸を持つのも辛い。
全部私のせい…。





違う…？






「ふくちゃん？！ふくちゃん？！」

椅子に倒れこむ感じがする。
痛みさえも感じない。




これは…





風邪…？？











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