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Aちゃんがどうして俺に触れたくないのか。
それを今更考えて、不安になって、頭がいっぱいになっていた。
「しつこいっ!!!」
言った途端我にかえった。考えていたことが一旦吹っ飛んでいった。
顔を上げると、今にも泣き出しそうに眉が歪んだAちゃん。
その顔を見てどうしようにもできなくて、胸がきゅっと締まっていく感じがする。
ふっと再びパソコンに視線を移した。
Aちゃんが駆けて俺の元を離れていく音が聞こえる。
その時どんな顔をしていたかなんて嫌でも思い浮かぶ。
…なんて馬鹿なことをしたのだろう。
Aちゃんは心配しただけじゃないか。
俺が間違いかもしれない心配に悩みを重ねて、なのに結局傷つけてしまった。
「くそっ…」
無意識に口に出す。
「なに…言ってんの?」
今度は別に声が降ってきて目線を上げる。
…河村だ。
「俺、馬鹿だ…」
間違ったと微塵も疑っていなかったが、河村の信じられないといった顔を見て、
目の前がぼやけた。
「俺はどうすればいいんだ…」
「君たちディスタンスカップルに何があったかは知らないけどさ、
ふくちゃんはお前が大好きだろ。」
「何を今更…」
「福良がふくちゃんに告った時のあの桜より可愛かった顔を覚えていないのか」
「ふくちゃんがお前に触れたくないわけないんだ」
Aちゃんは、俺に触れたい…?
触れそうになった時に避けられたのに…?
でも、Aちゃんを疑うことはできなかった。
だって俺の頭いっぱいにいるAちゃんは優しかった時だけだったから。
そうだ、今度こそAちゃんを支えて、心に寄り添ってあげなきゃ。
夕暮れのカラスが桜の枝に止まってこちらを睨んでいる。
俺はディスタンスをやめる。
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ピーチフラペチーノ(プロフ) - 林檎さん» わ~!ありがとうございます(๑>◡<๑)どうぞディスタンスカップルを引き続きお楽しみください♪そう言ってもらえると更新の糧になりますᕦ(ò_óˇ)ᕤ (2022年12月23日 0時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 好きすぎますッッッ‥!!!ふくちゃんもfkrさんも頑張って、! (2022年12月22日 22時) (レス) @page16 id: 4ad8b0fd3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピーチフラペチーノ | 作成日時:2022年12月11日 16時