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その言葉を聞いて、脳の中でチリンと、鈴がなったようだった。
“私”……？
「あいちゃん…？」
「私ね…神宮寺Aなの」
あいちゃんは青空を見上げた。
どんな表情をしていたか、わからない。先をいっていた僕を見ずに、続けた。
僕と河村さんは衝撃で、多分緑の鮮やかさしか、見えていなかったと思う。
あいちゃんは、自分の過去を全て話した。
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「それは…本当のことなの…？」
いや、聞くまでもない。
風が吹くと同時に僕の方に振り向いたあいちゃんの姿は、一気に僕の記憶を漁った。
間違いない。
テレビで見た、神宮寺Aちゃんの、動作と一緒だ。
ただ振り向くだけが、目の前にいる“あいちゃん”を“神宮寺A”だと証明している。
「それが、須貝さんに、バレた？」
「そう、記者の人のせいで。
あいは、この悲惨な記憶をしっかり鍵を閉めてしまっておいたのに。
開かれちゃった。」
声はどんどん震えて、今にもおかしくなりそうだった。
方も震えて、背中も丸まり始めた。
「あいはっ…！もう、家族を失いたくなかっただけなのに…！
むしろ、もうあの暖かさに触れたくなかったっ…！！
でも、あの日駿貴パパを見た瞬間、これから……これから…
また幸せになれるのかもって思って過ごしてきた…！！
なのに…なのに…なのになのに……」
ぱたぱたと、涙がとめどなく溢れでている。
それを見て、僕も涙が出る。
ただでさえ暑いのに、熱い涙が。
あいちゃんは河村さんの服を握りしめた。
「ねぇ…神さん！神様なんでしょ？！もうあいから何もとらないで…！駿貴パパを…持っていかないで……」
2人とも、あいちゃんを見て、動けない。
やっと、一歩、また一歩、ロボットのようにぎこちなく、あいちゃんに近づく。
「あいちゃん、昔話をしよう」
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作者名：ピーチフラペチーノ | 作成日時：2022年9月17日 11時
