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「っ、すがいさ…」
「なぁ…俺はしっかり父親をやれていたと思っていたんだ…」
志賀がやっと言葉を出したと同時に俺の口は動いていた。
…あぁ、話す気なんて無いのに。
ただ両手で顔面を覆って震える声を抑えていることに必死だった。
「でもなぁ……あいは…ずっと…寂しかったんだと………
おれ、何もしてやれなかった……
誰かに、言われてからじゃ無いと…気づけない……」
喉の奥がグッと熱くなる。
涙が、止まらない。
「須貝さん…」
「あいは、俺といて…いいのか…
この先何十年間、俺といて、楽しいのか…」
「須貝さん」
「全部演技だったのか…？」
「須貝さん！」
「俺が、あいをえらんだのは…間違いだったのか…？」
「須貝さん！！！！」
パンッ______。
俺の左頬を叩いていたのは、志賀だった。
隣の伊沢はびっくりして声も出ない様子だった。俺もそう。
突然のことで理解が追いつかない。
「貴方は…貴方だけは…！その言葉を言ってはいけません！！
あいちゃんを幸せにするのは、もうAちゃんのお父さんではありません！
あいちゃんの！あいちゃんだけの、お父さんである、貴方です！」
「クヨクヨしてていいんですか…？！もっとあいちゃんは、離れていきますよ…？！
あいちゃんと出会ったのは間違いでも、あいちゃんにとっての不運でもありません！
『奇跡』です______！」
ツゥーっと。涙が一雫、頬を伝う。それは叩かれた跡をなぞっていて、若干ヒリヒリする。
ハッとした____________。
そうだ、俺は、あいを選んだ日、ほっとけなかったんだ。
でも、今は違う。
大好きなんだ
「あっ、すみません須貝さん…！私、失礼なことを…！」
「はは…いや、いいんだ。むしろ有難う志賀。眼が覚めたよ」
「行ってあげてください。“あい”ちゃんの元へ」
「当たり前だよ伊沢。なんたってナイスガイ須貝だからね…！」
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作者名：ピーチフラペチーノ | 作成日時：2022年9月17日 11時
