最終節 ページ11
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初夏。
あいを保護したあの日から4年後。現在あいは中学1年生だ。
あの1日早かったバレンタインの日から2人はずっと親密になった。
反抗期やマンネリは全くなく、ただ楽しい日々だった。
途中で川上が辞めてしまって「かーにぃかーにぃ」と気が滅入ってしまった時期もあったが。
そんなあいがもう13歳。早いなと言う寂しさは勿論だが、それよりも成長が喜ばしい。
春も終わりかけ、家でいるには短パンを出す時期。
ここが、運命の変えどきだったのかもしれない____________。
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「あいさんは演技が上手ですね。」
何気無しにオフィスでかつての学芸会のビデオを見ていた。
ビデオの中の映る小５のあいは本当に演技が上手だった。まるでそこに語りかけるよう、思いついたかのように、並みの俳優よりうまかった。
「なあに神さん、いじってるの〜？」
「ほんとに上手だよ！」
「こーちゃんも！」
『お気に入り』とか色々あったが今ではオフィスの殆どとは心置きなくしゃべっている。
河村は神さん、渡辺はこーちゃん。
「あれ〜ごめんあいちゃんの好きなクッキーがなくなってるー」
「ほんと？ぴーさん。」
あ、福良の呼び名は変わってないらしい。ずっと仲がいいけど。
「あっ、ごめん！俺が食ったんだった！」
「ちょっと…イザワサン…ほんとに…」
が、伊沢についてはいまだにさん付けだ。
「怖い！もっとさっきの会話みたいに優しく言ってよ！」
「なんで食べるの！」
「怖い！」
このどっちが大人かわからない会話ももう聴きなれたものだ。
「おーい！また喧嘩してんのかい？伊沢さん」
この声は霜凪さんだ。伊沢と仲良くなり、あいとは師弟関係にある。もう15歳だ。
変わらぬ声色は安心できて、大きな柱のようなずんぐりさもある。
「また買いに行けばいいだろ！な、あい」
「むー…じゃあ行ってくる」
「じゃあ一緒に行くか、あい。」
霜凪さんの仲立ちにより、近くのスーパーに行くことになった。
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作者名：ピーチフラペチーノ | 作成日時：2022年9月17日 11時
