第6節 ページ2
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「駿貴パパ…?」
「んー?」
「今日陸上やってきたよ」
「んー。楽しかったー?」
「楽しかった。けど…」
「そっかー。よかったなー」
あいはいつもより頑張って会話してる。
緊張して「はい」ってしか返事できないけど、今日、今だけは試しに頑張ってみたの。
その理由は他でもない駿貴パパにある。
だって最近ずっとパソコン見てるもん。
前は顔ぐらい見てくれたけど今はパソコンしか見てない。
お湯を沸かすコンロの火の音だけが響いている。
忙しいのかなぁって思ってたけどいつもの駿貴パパじゃない気がするし、何より、
……………ちょっと寂しい…。
でも我慢するって決めたし…。
いつしかあいが届かない高さの机に置かれたパソコンばかり眺める駿貴パパをいつもより少し恋しく感じた。
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「ダメだよね〜…」
「どうしたの?」
「わっ!」
駿貴パパの撮影中。学校帰りオフィスで仕事が終わるのを待っていた。
気づけば最近悩んでいたことが口に出ちゃったみたい。
声をかけてくれたのはよしあきにぃ。
駿貴パパ達より背が低いからちょっと親近感がわく。
はいっと両手に持っていたココアの片方を渡してくれたよしあきにぃに少し、頬が緩む。
「ちょっとね…駿貴パパ忙しいなって…」
「あー寂しくなっちゃったんだ」
図星を疲れてビクッと肩が跳ねる。
「でも我慢するって決めたし…」
「決めちゃったのはしょうがないけど無理も良くないと思うけどなぁ」
「我慢が無理にならないように気をつけてね」
「じゃあね」っとココア片手に手を振ってデスクに戻っていった。
渡されたマグカップの中に視点を落としてライトでキラキラ光るココアに映る自分を眺める。
駿貴パパが忙しいのもそうだけど、その他にこの前のしがにぃとも買い物。
あの一言には驚いてしまった。
『貴方、神宮寺Aですね?』
「いやだなぁあの人…ふふふふふ…」
黒光りするココアにあいを知っているものは見たことがない笑顔が浮かんでいたのはまた別の話。
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作者名:ピーチフラペチーノ | 作成日時:2022年9月17日 11時