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駿貴パパは…汲み取って欲しかったことを当ててくれた。
流石だなぁ…。
「あのね……今日陸上部の見学に行ったの…」
「すごい高さのバーを超えたり、あいが見学中一回も止まらずに走り続けてた人とか」
「でもひときわ目を引いた人がいたの。5年生の霜凪さん」
「かっこいいなって思ってやってみたくなったの…」
そこまで喋ってチラッと駿貴パパを見た。
オフィスで仕事をしているどの駿貴パパよりもよっぽど真剣な眼差しで話を聞いてくれている。
なんだか目を合わせていられないほどでまた膝の上に視線を戻した。
「やればいいんじゃね?」
「…え?」
「やりたいんでしょ?学生のうちにやりたいなぁって思うことはやっていいと思うぞ!」
さっきの眼差しからは一転、いつものニカッとした笑顔を見せる。
あいの心配なんて知らないようにただただ眩しかった…。
「…ひっ…ぐすっ…」
「おいおいどうしたどうした?」
途端に涙が出てきた。駿貴パパまた表情を変えて頭を撫でてくれた。
「他に何か、心配なことがあるのか?」
「…。」
「あいね……我慢するって決めたもん…」
「どういうことだ?」
「だってだって…こーゆーのに入ったら道具費とか遠征代とか部費とかお金かかっちゃうもん…」
「はあ…?」
「だからだから…駿貴パパにあんまり無理させたくないんだもん……」
あいを撫でる手は止まらず、あいも涙で視界が歪んだまま。
心配だったことはお金がかかっちゃうということだった。
この家に来たとき話されたこと。
『好きなものを買ってやれないかもしれない』
『あい我慢する』
「約束だもん……」
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ピーチフラペチーノ(プロフ) - yuriori12911さん» ご指摘ありがとうございます!すみません全然気づいていませんでした…!すぐ修正します。 (2022年9月25日 18時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
yuriori12911(プロフ) - 多分仮名に あい が登録されているので、「あいつ」の あい が、名前に変換されています。確認してくださると嬉しいです。 (2022年9月25日 4時) (レス) id: 4df0e29a7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピーチフラペチーノ | 作成日時:2021年1月1日 23時