【QK】160cmのパーカーと179cmの身長。［第1章］

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「ようこそ、我が家へ」




数日後。俺は父親になった。
本当はもっと話し合いを考慮した上で制度が成立するのだが、

俺たちは一度会ったことがある…ということで割と早めだった。
それよりこの子が俺を求めていてくれたことにびっくりだった。


北海道より帰還して久しぶりの我が家。
ずっと一人暮らしだった家にこれから家族が増える。

リビングを眺める。
やや散らかった家は俺の生活の片鱗をちらつかせる。


東大へ通い始めて、QuizKnockに入って、あの日まで。
ずっと1人で暮らしてた。

俺はもう二人暮らしだ。



「そうだ、名前どうしようか」



今まで9歳と呼んでいたけれど、それはあくま仮名であり、名前を知らなかったからだ。
一応戸籍を把握しているのだが、ある約束を告げられている。

が、この子の戸籍は不明な所が多々ある。
性別、生年月日、保護状態以外ほぼ不明らしい。

でも名前がないと不便だしな。
名前は保護された時にきいたらしいが全く答えてくれなかったらしい。


「名前どうする？」


名前は？って聞かないほうがいいよな。

しばらく待ったけど返答は帰ってこない。
ただ俺をじっと見つめるだけ。


「んーじゃあ俺がつけちゃおっかな〜」

キャラクターに名前をつけるように、う〜〜んとわざとらしくこめかみを抑えて悩むふりをする。



「あい!今日から君はあいだ。



あい、そう名付けた。
実は里親制度の書類記入の際に勝手に入れてしまった。
だからお気に召さなかったらもう終わり。


「あい…！自分…あい？」


嬉しいと言わんばかり頬を紅潮させる。
幸せいっぱいという顔でその場でくるくる回っている。
よかった。


須貝あい。
須貝駿貴の子。





あいはフードを取れば地毛で茶髪の一九分け。
長さは耳上で外に少し跳ねている。

なで肩で声はまだ声変わりをしていない、ハリのあるカッとした声。
鼻上と膝にあざがあり、眉毛は薄い。
いわゆる両性。どちらにも取れる。

こうなったのは保護されてかららしい。
本人の希望で両性のような見た目になった。

あいは女の子だ。

だがそれを知っているのは俺とあいだけ。
広めない。

それもルール。



あと１つ。言われた約束……それは過去を探らないこと。











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