ボクの一番星 (ページ1)

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「幻想」ページ1

ボクは死なない。
炎に焼かれても、水に溺れても、電気に感電しても。
ボクは死なない。

痛いのに。
痛みを感じるのに。
ボクは死なない。

ボクは『不老不死』なのだから。

見た目は10歳くらいだが、中身は500歳。
地球が滅んでも、ボクは生き続ける。

正直言って辛い。
死にたい。だけど、死ねない。

「こんばんわ」

ある日、ボクの目の前に金髪の女性が現れた。いや、不思議な裂け目から上半身を出している。だけど、ボクは驚きを顔に出さない。だって自身の存在も不思議なのだから。

『....こんばんわ』

ボクは少し間を開けてそう答えた。
ここは、駅のホームだ。
沢山の人がいるのに、皆この不思議な女性に視線を向けない。何故？こんなにも目立つのに。

ボクはその女性の横を通り過ぎようとした。
早くしないと帰りの電車に間に合わない。
だが、それを目の前の彼女は制した。
女性は白い手袋をした綺麗な手で、ボクの手をを掴む。振り払おうとした、のだが全然抜け出せない。ボクは怪訝な表情をしているとおもう。彼女の何処にこんな力があるというのだ。
そんなことを思っていると女性が静かに口を開き、私の耳にこう囁いた。

「＿＿＿一名様ご案内」

そんな言葉を聞いた瞬間、地面の感覚が失われた。落下している。ボクは素早く手を上に伸ばした。だが、それは虚しく空を切る。
周りを見てみたら、ギョッとした。
いや、誰だってギョッとする。
目玉。
沢山の目玉がある。
ボクは怖くなったので、下に視線を向けた。

『..え？』

森。
森がある。
下も周りと同じ様な光景かと思っていたのだが。
気がつけば、ボクは目玉の空間を抜けていた。
だが、安心していたのもつかの間。
このまま行けば、ボクは地面に追突するだろう。
でも、不老不死だしいくらでも生き返る。
それでも痛みは感じたくない。

「大丈夫かっ！？」

近くでそんな声がした。
ボクはそちらに目を向ける。
そこにいたのは、箒に乗ってこちらに手を伸ばす少女だった。
ボクも彼女と同様に、バランスのとれない空中でできる限り手を伸ばす。
＿＿＿パシッ
届いた。
彼女は「手、離すなよっ！」と言い、乾いた笑みを浮かべた。ボクはそれに頷く。

それが、彼女とボクの出会いだった。