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衝撃的なその言葉に、


俺は鉄の棒でボッコボコに殴られたような気持ちになった。


惨めだ。すごく。


それに、心が痛すぎる。


ぐわんぐわんと目眩がして、


気付けば視界が歪み、俺は冷たい床に倒れとった。









夢を見た。


長い長い夢。


Aと出会ってから、Aを好きになって…。


俺がAを思ってきた今までのこと。


幸せな夢は、いつか覚める。


現実が来てしまう。






A「…あ、起きた」


としみつ「ん゙…」


頭痛がする額をさすりながら重い体を起こすと、そこは見知らぬ部屋。


いや、正確には、覚えたばかりの部屋。


A「大丈夫ですか?」


としみつ「あ、いや…大丈夫。」


さっきてつやが寝とったベッドに俺はおる。


としみつ「てつやとりょうは?」


A「りょうくんはお友達との約束があって、てつやくんはこれから東京行くらしくて」


としみつ「え?2人とも帰ったの?」


間抜けな声が出る。


A「はい。」


としみつ「いつの間に…」


A「りょうくんがてつやくん叩き起して、倒れたとしみつくん運んでくれたんですよ布団まで」


としみつ「あー、後でお礼言っとくわ」


なんとも言えん、気まずい空気。


なのに俺は、好きな子の布団におるという現実が頭から離れんくなっとる。


いい匂い、する。


A「…さっきひどい事言ってごめんなさい…」


としみつ「あ、いや別に…」


A「私、再就職先決まったんです」


としみつ「へ?」


また間抜けな声が出る自分が嫌になる。


A「本当に辛くて仕事辞めて、しばらく誰の顔も見たくなかったけどとしみつくんが助けてくれて」


Aがサラサラの髪の毛をふわっと耳にかけながら俺を見つめる。


A「東海オンエアに誘ってくれて、皆が仲良くしてくれて」


ベッドで上半身だけ起こした状態の俺は、ただただAに見とれることしかできん。


A「すごい楽しい職場で…だけど、いつかはまた再就職しなきゃなって思っとったんです」


としみつ「…そりゃそうだよな」


A「はい…だから、本当に感謝はしてます。最終的に迷惑はかけちゃったけど」


としみつ「俺は迷惑だなんて…」


A「としみつくん、」


窓の外で、しとしとと雨が降り出す音がした。









A「てつやくんのこと、忘れさせてください」

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作者名:するめ長官 | 作成日時:2019年7月7日 16時

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