愛した貴方と愛される私。【東海オンエア】

embrace ページ29

虫さんだってきっと分かっとるはず。


私がてつやとの別れを経て心がボロボロって事も、

次に進めるか進めんか曖昧なラインなことも、

てつやへの気持ちがまだ、100％消えてないことも。





分かっとるから、こうして気を遣ってくれとるんだよね？









しばゆー「うあーっ、よく寝たあ」


りょう「しばゆー、行きたいソーキそばのお店あるんだけど行かん？」


しばゆー「行く！！」


りょう「何かここ最近出来て人気らしいんだよね。」


しばゆー「準備しよーっと。」


りょう「うん。…あ、虫さんとAはどこ行くの？」


虫眼鏡「え？僕達もソーキそば行くよ。」


りょう「いやいや、いいよ。行きたいところ行ってきな？」






昨日の反応からも読み取れたけど、りょうくんはきっと虫さんの気持ちを応援したいんだ。


だからこうして虫さんにさりげなく協力してみせる。


虫眼鏡「えー？じゃあ遠慮なく」


A「どこ行く？」


虫眼鏡「ベタだけど水族館行く？」


A「私美ら海行ったことない」


虫眼鏡「そうなの？じゃあ丁度いいやん。行こう！」


りょう「写真送ってねー。ばいばーい」


しばゆー「お先に行ってきまーす」







てつやと付き合った時もこうして周りや友達が空気を読んで気を遣ってくれて、

上手く進んでいったんだよね。




そんな記憶が戻ってきて頭の中を安易に埋めつくしていく。

信じられんスピードで。

それは、自分ではどうしようもなく、頭の中にこびりついて離れんくなってしまう。







虫眼鏡「…A？」


A「…ごめん。ボーっとしてた。」


虫眼鏡「…嫌なこと、思い出した？」


A「へっ？」


虫眼鏡「大丈夫。僕がいるから。」



虫さんはそう言って、ゆっくりと私を抱きしめた。

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