好きになっちゃダメだよ。 ページ19
どこか一点を見つめる目。
細長い綺麗な指が、テーブルをとん、とん、と叩く。
組まれた足は長く、デニムが良く似合う。
A「…何か腹立ってきたわ」
りょう「え?何が?」
A「ファラオじゃないりょうくん、絵になりすぎ。」
今日は撮影。
衣装に身を包む時のみ、十字架は発動しなくなる。
分かっとったのに。
A「…何でこんなスタイルいい?」
りょう「さあ、生まれつき」
A「くっそこいつ…!」
虫眼鏡「えいっ」
私が立ち上がると同時に虫眼鏡がりょうくんにタックルした。
りょう「なになになに、もう、落ち着いて虫さん」
ダメだ、大人に構ってもらっとる子供にしか見えん…って言うのは黙っとこう。
虫眼鏡「なんか今のりょうムカついたわ」
としみつ「俺も激しく同意」
洋楽がかかるスタジオに、シャッター音が響き始めた。
しばゆーとてつやがカメラテストされとる。
りょう「しょうがないやんスタイルの問題は。虫さんはふざけすぎだってば、その身長」
虫眼鏡「くっそ〜〜〜」
A「りょうくんキマりすぎだもんなあ本当。」
りょう「そう?」
りょうくんがゆっくり立ち上がって、私の頭に手を置いた。
りょう「好きになっちゃダメだよ」
優しい口調でその言葉を放って、りょうくんはスタスタと歩いてってしまった。
としみつ「…何今の」
虫眼鏡「…わからん」
としみつ「俺が好きになるわ」
虫眼鏡「僕も惚れたわ」
としみつ「かっこよすぎん?」
虫眼鏡「僕達とは人間としてのレベルが違う」
としみつ「いいよなあ、Aは女だから」
A「…は?何でそうなんの」
虫眼鏡「りょうくんの彼女になれちゃうかもしれないじゃん」
A「いや、ならんしなれんし。」
としみつ「またまたあ、キスしとったくせにい〜!」
シーン、という音が聞こえそうなくらい静まりかえるスタジオ。
としみつの小声の、「やべ。」が聞こえたような気がした。
虫眼鏡「ねえ」
てつや「なんそれ」
しばゆー「どゆこと?」
A「…おい、としみつ」
としみつ「…はい」
A「ぶっころす」
340人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「YouTuber」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:するめ長官 | 作成日時:2019年8月9日 18時