No.78 尊side ページ31
尊は今、廊下を歩いている。
厳密に言うと穂波と並んで荷物運びをしている。
職員室までの間、穂波はたわいない話を尊に振った。
「そう言えば、一週間前くらいだったかしら。放課後、中庭に明石さんがベンチに座ってたから近づいて声を掛けようとしたら猫が一斉に飛び出してきて明石さんにすり寄ってたの。ふふ、明石さんって物凄く動物に懐かれるタイプなんだなって思ったわ」
尊はそんなことがあったのかと思った。
あの時は色々あって薫との距離を開けていた。
「………」
職員室まで荷物を運び終わり、ふと、穂波の手提げバッグの中に、編みかけの何かが入っているのが目についた。
穂波は周防の視線に気づいて、少し恥ずかしげに笑いながら、編みかけの小さな袋状の何かを取り出す。
「あ。これ、姪っ子にプレゼントしようと思って作ってたんだけど、なかなか難しくていつの間にかこんな季節になっちゃってた」
はぁ、と周防は返事だかうなりだかわからない声を漏らした。
周防は穂波の手の中にある、制作途中の靴下らしい赤い毛糸で作られた袋状のものと、見本かと思うほどの綺麗な赤い靴下を見つめる。
無表情に穂波の手元を見下ろす周防に何か思い出したのか、穂波はもう片方の完成している靴下を指差した。
「こっちのはね、私が作ったんじゃないの。これはね。明石さんが作ったの」
「あいつがか」
「ええ。書類を運んでもらった時にね。初めてだって言ってたから一緒に本を見て練習したんだけど、明石さんすぐに上手くなって、あっという間に作っちゃったの。明石さんって飲み込みが早いんだね」
「……」
疑問に思った。
何故穂波はさっきから薫の話をよくするのだろうかと。
穂波は尊の視線で察し、少し目を逸らす。
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ミリア - 続き楽しみです！。尊がカッコ良かったです。これからも応援してます。頑張ってくださいね！。 (2017年7月4日 16時) (
レス) id: e3c7f73b1f (このIDを非表示/違反報告)
凪花(プロフ) - 続きがとても気になります！更新頑張って下さい！ (2017年3月4日 20時) (レス) id: 254f4e5b63 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 是非に尊さんに編み物を(笑)見てみたい。 (2017年1月30日 23時) (レス) id: f0199973b0 (このIDを非表示/違反報告)
紫音 - 続き楽しみです(。・ω・。) 応援してます！ 尊さんかっこいいですね(//∇//) (2016年8月17日 23時) (レス) id: cc3993d316 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルコバレーノ | 作成日時：2016年4月30日 0時
