No.73 ページ26
『ぇ…？』
薫の思考は完全に停止した。
一体何が起きたのかわからない。
「薫」
熱を帯びた言葉で紡がれた名前。
薫は糸が切れたかのように涙が零れ出した。
『っ…ふ……ぅっ…す…おう……さん』
初めて名前で呼ばれた。
嬉しい。
そして、ここで薫は察した。
周防さんは私のこと好いてくれている
また違った涙が出てきて、顔のまわりに前髪が貼り付いてしまった。
「ふっ……尊だ」
薫の顔に貼り付いた髪を尊がかき上げ、自分の呼び名を訂正させる。
『うん………尊。…好きです』
「ああ…」
『大好きです…』
「ああ」
二人は優しく抱きしめ合い、そして、初めての口付けを交わした。
『んっ…』
とても温かい気持ちになった。
これが幸せ。
自分はもう一人じゃない。
たくさんの思いが溢れて涙が止まらない薫を尊は泣き止むまで優しく背中を撫で続けた。
暫くして泣き止んだ薫の身体はとっくに限界を超えていた。
目がうとうととしていて今にも寝そうだ。
「寝るか」
『……うん』
尊は薫の身体を一度、抱き上げてから一緒のベッドに入る。
薫に腕枕をしてあげ、もう片方で身体を引き寄せて抱きしめるように寝る。
『おやすみ…尊』
「ああ…」
尊は薫に軽く口付け、ゆっくりと眠りについた。
朝になり、草薙が薫と尊の様子を見に行く。
音を立てぬよう扉を開けると、そこには幸せそうに眠る二人の姿があった。
昨日の夜の間に何かがあったのだろう。
「はぁー…やっとくっつきよったか……まぁ二人ともおめでとさん」
草薙はそれ以上は何もせず、一階へと降りて行った。
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ミリア - 続き楽しみです！。尊がカッコ良かったです。これからも応援してます。頑張ってくださいね！。 (2017年7月4日 16時) (
レス) id: e3c7f73b1f (このIDを非表示/違反報告)
凪花(プロフ) - 続きがとても気になります！更新頑張って下さい！ (2017年3月4日 20時) (レス) id: 254f4e5b63 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 是非に尊さんに編み物を(笑)見てみたい。 (2017年1月30日 23時) (レス) id: f0199973b0 (このIDを非表示/違反報告)
紫音 - 続き楽しみです(。・ω・。) 応援してます！ 尊さんかっこいいですね(//∇//) (2016年8月17日 23時) (レス) id: cc3993d316 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルコバレーノ | 作成日時：2016年4月30日 0時
