机上の池袋【折原臨也】 (ページ27)

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26話ページ27

有無を言わせぬ口調で、強い気を乗せた言葉を吐き出した

｢駒は、私の手の内にあります｣

ぞわっと鳥肌がたつ

気圧される私とは別に臨也さんは新しい玩具を自慢するような口ぶりで、私の肩をパシリと叩く

｢___大当たりだ｣

｢痛いです...｣

＊＊＊

何が何だか分からないと混乱しながらセルティさんが竜ヶ峰帝人と臨也さんの2人の様子を窺う

臨也さんが興奮しているのが分かるくらいにははしゃいでる隣で竜ヶ峰帝人はもっと興奮しているように見える

玩具を与えられた子供のように目を光らせ、先刻まで涙を浮かべていたようには見えず、強い意識で歓喜に沸き立つ自分自身を支配しているかのような表情

｢何が何だかって感じですね～｣

暇だしセルティさんにでも話しかけようと思ったが私の言葉に疑問を持っている様子

【君は...Aちゃんは知っていたんじゃないのか】

｢やだなぁ、臨也さんが教えてくれるわけないじゃないですか、私口軽いから臨也さん全然自分の事教えてくれなくて～｣

教えてもらう必要もないけど

【そうか】

短く返された返事、会話が途切れてしまった

無駄に不信感募らせただけで悪手だったかもしれない、ちょっと反省

どうも自分もテンションがあがっているらしい、さっきから口角があがってしょうがない

人差し指と中指の2本でぐぐっと口角を下げるまねをする

しばらくしたらキリが着いたのか竜ヶ峰帝人がこちらに振り返り己の全てを語り始めた

＊＊＊＊＊

ご機嫌な臨也さんは鼻歌交じりにケータイで誰かにメールを送っている

｢下準備、実にいいじゃない
旅行に行く時よりも準備期間が1番楽しいってのは言い得て妙だよねぇ。他の人が準備してたのを横からかっさらって撒くのも良いけど自分が下準備して来たものが身を結ぶって言うのは実に悪くない！｣

｢一緒に旅行いく友達いない癖に...｣

さも自分が体験したかのように語るもんだから思わず面食らう

｢言葉のあやだよ、例えさ。こうも上手くいくとまるで世界が俺をお膳立てでもしてくれるかのような錯覚に陥るよ、まったく気分が良いね｣

｢それは...良かったですね｣

一旦はと臨也さんの事務所まで戻ってきた訳だが竜ヶ峰帝人の手前、堂々と隣の部屋に入る訳にも行かなかった

椅子に座ってメールをうちながらくるくると回る姿に器用なもんだなと感心する

恐らくこれが初仕事な訳だが、渡されたプリントをホッチキスで止めながらファイルに入れる

案外地味な仕事だなぁ...これ