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26話 ページ26

「それにしてもちょっと遅くないかい?」

言われて気づき時計を見るとさっきから5分程経っていた

説得に失敗したにしろ、一旦は外に出てきても可笑しくない時間だ

「カップラーメン作れますね」

「まったく...とりあえずちょっと見てこようか」

アパート横に止めてある1台の清掃業者のバン、こんなボロアパートにはとても似つかわしくない。

横目でセルティさんを見るとバンをじっとみて何かを考え込んでいる様子だった、恐らく考えているのは同じことだが

****

案の定竜ヶ峰帝人の部屋に近づくと部屋の中からバタバタと足音がする

部屋の中にいた男達は我先にとセルティさんを押しのけ外へ飛びだし、少し後に自動車のエンジン音が掛かり始めた

「た.....たたた、助かった.....」

竜ヶ峰帝人は恐怖の涙を耐え忍びたが、続いて溢れる安堵の涙からは逃れることは出来なかった

「大丈夫?」

へたり込む竜ヶ峰帝人の横に屈むと少し赤くなった目と目が合う

「...大丈夫です」

「あの連中は多分、矢霧製薬の奴らだね。バンに見覚えがある」

「ああ、最近落ち目の」

決して善意で教えてあげたのではないだろう、無料で渡すには惜しい情報が臨也さんの口から独り言のように口走る

焚きつけるため、このダラーズの創始者様を

「矢霧.....製薬.....?」

「そ、外資系に吸収される寸前の木偶会社」

竜ヶ峰帝人は涙をこぼしかけた目を丸くするとしばし考え込む

目の奥の涙は退いて、そして静かになった状態の部屋でパソコンを立ちあげる

システムの起動中、学校内で切っていた携帯の電源を入れて、メールのチェックをする

その姿を不思議そうにセルティさんが見守り、その横で____臨也さんはまるで珍獣を見つけたハンターのように鋭い両目を爛々と輝かせた

「正直、疑い半分だったんだが」

そこまで言ったところで、竜ヶ峰帝人は立ち上がったばかりのパソコンから即座にネットに接続、物凄い指裁きで何らかの暗号を入力し___ダラーズのホームページにログインした

明らかに、素人が見てもわかる

管理者しか見れないような画面に益々臨也さんは目を輝かせる

あるページをしばらく見て、竜ヶ峰帝人は私たちの方を振り向いた

その眼光に思わず身震いする。先刻まで泣きそうになっていた年相応の目付きではなく、今の彼は獲物を見つけた鷹のように、どこまでも深く真っ直ぐな瞳で私たちに向かって頭を下げる

「お願いです。少しの間だけ、私に協力して下さい」

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空白@不定期浮上(プロフ) - 面白いと思ったので更新して欲しいです! (2020年5月3日 18時) (レス) id: 015a9f265e (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - めちゃくちゃ面白かったです。応援してます (2019年6月11日 23時) (レス) id: 9a5df359f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるみるみるとん | 作成日時:2019年3月23日 16時

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