19話 ページ19
竜ヶ峰帝人の横に立っている園原杏里はと言うと逃げることもせず、ただ怯えた目をして臨也さんと竜ヶ峰帝人の方を見つめている
「可哀想に...」
そうだよね、助けてくれると思ったらとんだ変態がきたもん、怖いよね
くるりとこちらに向いていた視線を竜ヶ峰帝人にずらし、優しい微笑みを浮かべてみせる
「偉いねえ、虐められてる子を助けようとするなんて、現代っ子にはなかなかできない真似だ」
「え.....」
それを聞いて園原杏里が驚いたように竜ヶ峰帝人を見る。
助けようとしていた所に突然臨也さんが現れ、奇行に走りその場の状況をあやふやにしたために何やら後ろめたそうな顔をしている
そんな竜ヶ峰帝人の様子にはわるで構わず、臨也さんはゆっくりと言葉を紡ぐ
「竜ヶ峰帝人君、俺が会ったのは偶然じゃあないんだ。君を探してたんだよ」
「え?」
何をいけしゃあしゃあと...さっきまで寿司食ってた癖に
竜ヶ峰帝人がそれはどういう事かと尋ねようとした瞬間___路地の奥からコンビニエンストアにあるゴミ箱が飛んできて臨也さんに直撃した
「え...?」
背中に冷や汗が走る
やばい、やばい、やばい
ゴミ箱がその場に落下し、がらんという派手な音を立てて動きを止めた
「がッ!?」
幸いゴミ箱の角ではなく面が当たり、派手さに応じるほどのダメージはなかったようで臨也さんがよろよろと立ち上がる
その目線の先にはつい昨日見たばかりサングラスをかけた若い男の姿、バーテンダーの着るような服に蝶ネクタイを結びつけている
言わずと知れた平和島静雄がそこに立っていた
「し、シズちゃん」
「いーざーやーくーん」
わざと間延びさせた声に竜ヶ峰帝人も園原杏里もゆっくりと振り向いた
さっき入った露西亜寿司の客引きのサイモンと呼ばれた男には及べてもやはり一般的にはかなり背が高い
普通なら一見細身に見えるその体型からはとてもこの男がコンビニのゴミ箱を投げたとは思えないが
いや今はこんなことを考える暇なんてない、一刻も早くここを立ち去らねば...
ゆっくりと平和島静雄から視線をむけたまま後ずさる
「池袋には二度と来るなって言わなかったけたー?いーざーやー君よぉー」
「シズちゃん、君が働いてるのは西口じゃなかったっけ」
「とっくにクビんなったさー。それにその呼び方やめろって言ったろー?いーざーやーぁ。いつも言ってるだろぉ?俺には平和島静雄って名前があるってよぉー」
低い声を出したがら、平和島静雄の顔には血管が浮かぶ
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空白@不定期浮上(プロフ) - 面白いと思ったので更新して欲しいです! (2020年5月3日 18時) (レス) id: 015a9f265e (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - めちゃくちゃ面白かったです。応援してます (2019年6月11日 23時) (レス) id: 9a5df359f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるみるみるとん | 作成日時:2019年3月23日 16時