机上の池袋【折原臨也】 (ページ16)

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16話ページ16

｢奢るくらい別にいいけど...Aちゃんは治療費と修理費まで払わせた上にまだ集るつもり？｣

｢なんの事だかさっぱりです｣

｢俺のところの『従業員』なんて君ぐらいしか思いつかいけどなぁ｣

従業員...もとい使いパシリとも言うが

頼まれた仕事は主に書類整理と情報収集、別にヤクザの秘密とかお偉いさんのスキャンダルなんて大それたことじゃなく街の噂程度で良いらしい

お給料は最低賃金と比べたらだいぶお高めの1時間2000円！給料の相場が分からないらしいからふっかけたところあっさりOKを貰えた

お金には困ってないが貰えるものは貰うのが富山家の家訓だ、お言葉に甘えて頂戴しようじゃないか

｢大トロ好きでしたっけ、死んだ魚の目が苦手なくせに｣

｢...｣

嫌そうな顔を向けられるとこちらも嬉しい()

｢割とどうでもいい事まで知られてると君が俺のストーカーなんじゃないかって疑ってくるよ｣

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｢Aちゃんって料理作れるの？｣

お寿司を口にむぐむぐと詰めている私とは正反対にお上品に食べている臨也さんが問う

｢ちょっと...待ってください｣

口の中がパンパンでとても喋れる状態じゃない

｢女の子なんだからさ、もうちょっと綺麗に食べれないの｣

｢そういうのセクハラなんですよ｣

ごくんと飲み込むと酢飯の後を引く味でまたじわりと唾液が出る

｢料理は、得意じゃないです
住み込みの家政婦さんいたし家事自体あんまりしたことないっす｣

記憶にあるのは自分の部屋の整理整頓...あとたまに皿洗いくらい

｢シャコ下さい｣

まだ食べる気なのかこいつと横目で見える呆れ顔の臨也さん

こっちだってもうお腹いっぱいだ、でも、奢ってくれるって言うなら相手の財布を空っぽにするまで食べなきゃ...

｢ボルシチ寿司...？えー気になる、凄いのあるな｣

｢露西亜寿司って言うくらいだしね｣

寿司屋のこういう変わり種美味しいよなぁ...

｢頼んでいいですか｣

｢...それで最後にしなよ｣

今まで食べたお寿司がたっぷりと入ったお腹をじろじろと見られるが構うもんか、初めて見るボルシチ寿司がどんなものかと胸を高鳴らせ握られるのを待った

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｢ありだな...｣

ボルシチというロシア料理と酢飯があんなにマッチするとは思わなかった、次来たらセットで頼も

お店を出てからしばらく臨也さんはきょろきょろと辺りを見渡している

平和島静雄を探してるのだろうか...だとしたら自分はもう帰りたい

｢行くよ｣

｢あっ、はい｣