机上の池袋【折原臨也】 (ページ11)

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11話ページ11

いよいよ泣きしだして話にならないと眼鏡の男性、もとい岸谷新羅先生が平和島静雄にドアを外させリビングに飲み物を取りに行った

｢...｣

これはチャンスとばかりに玄関の方に向かおうとしたら後ろからの鋭い視線に気づく

｢手前...｣

｢とととトイレですよ、やだな｣

慌てふためく自分に、はあと大きなため息を1つ吐いたらトイレの扉をガチャりと開き｢そうか、トイレならこっちだ｣と案内する

｢あ、あざーす...｣

恐る恐る入るとバタンと扉を閉められる、まさかずっとそこに立っているわけじゃないよな...

｢あの...リビングに戻ってくれません？｣

扉を開けようと押してみたりもするが寄りかかってるのか重くて開かない

｢お前が逃げるかもしんねーだろ｣

｢いやいや、仮に逃げるかもしれなくても女の子がトイレに入ってるのにそんな至近距離にいるのは可笑しいですって｣

｢俺は気にしねぇから大丈夫だ｣

おめぇの話じゃねぇよ！！！

｢やだぁ！リビングに戻ってよ！！｣

どんどんとドアを叩くもビクリともしない

｢岸谷先生ー！助けてー！！｣

ここまでデリカシーのない人だとは思わなんだ！本当にトイレ使おうとしてたらどうすんだよ！！

｢はいはーい、どうしたの...って！君何してるのさ！！｣

｢...｣

｢いくらなんでもそれはないよ！静雄くん！僕、性犯罪の友人はお断りなんだけど！？｣

｢あ"ぁ！？｣

｢あーごめんごめん！冗談だって！
でもそれはやっぱり酷いから静雄くんは僕と一緒にリビングで待とうね｣

バタバタと足音が遠ざかるのを聞いていると廊下からリビングに通じるドアが閉められた音が聞こえた

｢お...？｣

廊下には誰もいない、リビングの扉も閉められてるし出れる...！

ちょっとやそっとの音じゃ気づかないだろう

静かにトイレから玄関に向かうと玄関の所に折原臨也のコートがかけられていた

｢...まあ、これがないと行けないし｣

コートをそっと外し持つと音を出さないように玄関を開いた

きっと囚人が脱獄した時はこのような晴れやかな気分なんだろうなと思いつつエレベーターのボタンを押す

コートに腕を通しチャックを閉め、フードを被る頃にはエレベーターもちょうど着いていた

このコートのせいで大変な目にあったが今は暖かいから罪は免じてやる...

下に向かう間エレベーターが開いたら居るとかないよなホラーだよなと怯えていたが下に着いても平和島静雄がいることは無かった

時間を確認しようと腕時計をみたらヒビが入っていた