38*心の溝。 ページ38
「おはよ」
腫れぼったくて重い目に、コンタクトを入れるのは諦めて、メガネをかけて登校した私に、
翔くんが少しだけ驚いた顔をした。
「おはよう。…昨日は色々とごめんね」
翔くんだって朝から仕事なのに、遅くまで付き合ってくれて、
挙げ句の果てに潰れた私を家まで送り届けてくれたみたい。
机の上に、「ごめん、勝手に入った」って翔くんの字で書かれたメモが置いてあって、
服はそのままだったけど、メイクは綺麗に落とされていて、
翔くんのジェントルマンぶりが、身に染みた。
「別に良いよ。俺も帰ってすぐ寝たし」
「あっ、うん…メイクまで、ありがとう」
「ごめん、よく分かんないから適当に使ってみた」
「あれで十分だよ、翔くんが落としてくれてなかったらカピカピだったもん…」
「じゃあ良かった」
なんだろう、少し違和感。
寝不足だから声に覇気がない、と思ったけど、今日の翔くんは全体的に弱々しくて、
なんだか少し儚く見える。
いつもだったら、私のスッピンの写真撮って、見せてからかうくらいの事を平気でする、
そんな人なはずなのに、
翔くんは静かにコーヒーを啜ってるだけ。
いつもより黒く見えるその水面からは、もう湯気が上がってない。
ぎゅっと目をつぶって、その冷たいコーヒーを啜ってる翔くんは、やっぱり少し変だ。
「翔くん、私もしかして昨日変なこと言っちゃった…？」
「なんで？」
「後半から全然記憶が無くて…」
「まじか。別に何もねえよ」
フッ、と笑う翔くんの笑顔はいつも通りなはずなのに、距離を感じてしまうのはなんでだろう。
「でもなんか…」
「ごめん、鍵あるから先行くわ」
プリントの束とカギを持った翔くんが、椅子から立ち上がって、さっ、と教員室を出て行く。
ピシャ、っとドアを閉ざされたような、そんな気がして、
朝から少し、センチメンタルな気分になった。
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あやか(プロフ) - 初めまして。偶然貴方の作品に出会い読ませて頂きました。大好きな翔くんだけでなく、嵐のみんなが温かく描かれていてほっこりしました。他の作品も楽しみに読ませて頂きます。ファンの一人に入れて下さいな。 (2018年2月23日 3時) (
レス) id: 270e1ea97a (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - ＊___ noco ___＊さん» nokoさん、コメントありがとうございます(*´ー｀*) 過去作も読んで下さったなんて、嬉しいです！忙しさを理由に中途半端にしてしまいがちですが、頑張りますね(^^) これからも応援して頂けると嬉しいです…！ (2018年2月9日 15時) (レス) id: 5c4ad8d179 (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - そらさん» そらさん、コメントありがとうございます！以前から読んで下さっていたのですね(о´∀`о) 私もこんな素敵な先生に出会いたいなぁ…と思いながら書いていたので、そう言って頂けて嬉しいです！これからも更新を頑張るのでよろしくお願いします…！ (2018年2月9日 15時) (レス) id: 5c4ad8d179 (このIDを非表示/違反報告)
＊___ noco ___＊(プロフ) - 初めまして！こんばんは('ω')/ noco と申します(･∀･) 一昨日ぐらいに璃夢さんのことを知ったのですが、とても面白くて過去作も読みましたが面白かったです！(^^) どの作品も続きが気になりますが…焦らずゆっくりマイペースに更新頑張ってくださいね(*´ω`*)b (2018年2月4日 0時) (レス) id: 5465b9f03e (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - こんばんは、そらと申します！璃夢さんの作品、久し振りに読む事が出来てとても嬉しいです(*^ ^*) 今日のお話、とても感動しました！こんな素敵な先生たちと、学生時代に出会いたかった…と思いながら読んでいます。これからも更新楽しみにしています！ (2018年2月3日 22時) (レス) id: eac6265046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃夢
| 作成日時：2018年1月28日 20時
