甘い諦め ページ6
廊下にも響く野球部の練習音。
パパーン！と大きくて迫力のある吹奏楽部の金管楽器の音がする。
それに合わせて繊細に流れる木管楽器…
リズムを作るパーカッション。
いつも聴いてる音が何故だか大きく聞こえる。
あ、そういえば今日部活なのに私何やってるんだろう…
下駄箱で突っ伏して涙を零す。
…ねぇ、雅紀…
一目惚れって、誰に？
ほらほらぁ、早く教えなさいよ！
何照れてんのー？ごめんごめん、冗談だって…
なんて、そんな風に軽く受け流してたら良かったんだよね、きっと。
でも…そんなことできなかった。
靴に履き替えてトボトボと歩く。
ちらりと教室の方を見ると窓にもたれかかってる雅紀の後ろ姿が見えた。
…傷つくともたれかかって泣く仕草、変わらないね
もう、好きなのやめよう。
今まで何度もした決意。出来なかったけど、今回こそは…
いつもの下校路。仲良しのおばちゃんがやってる駄菓子屋で、大好きなお菓子を買って帰る。
おばちゃんは何かに気付いたみたいだったけど、「無理しちゃダメよ？おばちゃんはAちゃんの味方だからね？」ってオマケにイチゴミルクの飴をくれた。
甘くて大好きな味。
あぁ、飴が溶けて無くなるのと一緒にこの想いも無くなればいいのに…
なんてね、
ふっと自嘲気味に笑って、ガリッと飴を噛み砕いた。
高2の春は、やけに甘ったるい…
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智火 - 更新頑張ってください！ (2018年7月6日 6時) (
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作者名：か〜なん | 作成日時：2016年5月29日 3時
