すれ違いラブストーリー【kazunari】 (ページ14)

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隠した涙。ページ14

私の張り付けた笑顔に雅紀は一瞬泣きそうな表情を見せたけれど。

その表情には気づかぬふりをして雅紀を急かす。

あ「あっ、ほらほら、早くしないとチャイムなっちゃう！！」

時計を見せながら雅紀に言うと、「…うん」って小さな声。

しょんぼりした犬みたいに眉を下げてるこの顔は、私以外には見せない顔。

雅紀は普段、ずっと笑ってる。

辛いことがあっても、何があったってニコニコしてるんだ。

俺が笑ってたら、みんなも笑ってくれる。

誰かが泣いてたら悲しいでしょ？なんて言って。

涙もろい自分を隠して、笑ってるの。

でも、私たちはずっと一緒にいるから弱いところも全部、お互い見せてるんだ。

……この顔を見れるのは私だけっていう事実にうれしくもあり、いつかこの顔をほかの人に見せるのかなって不安。

その不安を消すかのように、雅紀の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

あ「ほら、行くよ？」

そのまま雅紀の手をつかんでいつもじゃれてるみたいにぐいぐい引っ張って教室まで連れていくと、雅紀は「こらっ、やめろよーっ！」なんて言いながら、本当の笑顔を見せてくれた。