モテたいわけじゃない。【名探偵コナン】

いいとこさがし1 ページ45

「……『いいとこさがし』？」

「そうなんだよ。周りの人の良い所を探しましょうって宿題」

「……小さくなったら勉強も楽そうだなー、とか思ってたんだけど。存外、そうでもないんだね」




大変だね、小学生は。


小学生なら簡単にこなせる宿題だと思うけど、高校生ともなると難しい。


なんだろう、この矛盾は。




「宿題ですか？」

「あ、安室さん」

「うん、江戸川君の宿題の話ですよ」




注文していたカフェオレとオレンジジュースを安室さんが持って来てくれた。




「良いところって言われても、何書けば良いのか全然わからなくて」

「残念だけど、僕も力になれそうにないな。そういうのは、子供の方が感性が豊かで見つけやすいと思うよ」

「あはは、そうかな」




江戸川君、いやあれは工藤君かな、が苦笑いを浮かべた。


まぁ、それもそうだ中身は高校生なんだから。




「それにしても、良い所か。小学校の先生は中々面白い課題を出すんだね。中学校や高校、ましてや大学ではまずみないような」

「そうですね。レベルにあったって言えば変ですけど、それぞれの成長過程に合わせているんでしょうか？」

「そうだと思いますよ。エリクソンの発達課題は、小学生、児童期と呼ばれる時期には勤勉性と劣等感と言われています。善悪の判断をつけるようになるのもこの時期です」

「難しいこと言ってますね。つまり、どういうことですか？」

「つまり、この時期には周りを見て、関心を持って勉強しましょう、という事です。なので、『いいとこさがし』は理にかなった課題だと僕は思います」




流石、安室さん……いや、降谷さん。


私はエリクソンとは？って感じだけど、多分偉い人なんだろう。




「相変わらず難しいこと知ってますね」

「探偵としては、これくらい」

「……探偵は関係あるんですか？」




そんな何かの専門家しか知らないようなこと、一体いつ知識として覚えるんだろうか。




「ねぇ、Aさん」

「ん？」

「僕、Aさんの良い所はたくさん見つけられるから、Aさんのこと書いてもいい？」

「え、そりゃ、構わないけど」

「やったー！」




子供らしく喜ぶ江戸川君、子供の時は可愛いのにな。




「それじゃあ、僕帰って宿題するね！」




オレンジジュースを飲み干して、江戸川君はお金を払って階段を上がって行った。

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