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工藤君の家3 ページ27

いい人を装って、自分の表情を隠す人が嫌い。


貼り付けた笑顔、とでもいうのかな、ああいうの。


昔からそう。


私に笑って近づいてくる男の子はみんなそう。


偽るのは悪いことじゃない。


誰だって、いいように見られたい。


でも、私はそれが嫌だった。




「もう、いいんです……」

「……なぜ?」




沖矢さんが不思議な顔で聞いてくるから、私は少しだけ悲しそうに目線を下げる。




「……」

「……教えてください。貴方の、心の内を」




するりと手が私の頰に当てられ、お互いの顔が見えるように上を向けさせられる。




「……た、たぶん」

「多分?」

「多分、彼のこと……私……」




そこまで言うと、沖矢さんが目を見開いた。


そこには、綺麗な緑色の瞳。




「……A」

「……あはは。そう、呼び捨てされると……本当に赤井さんみたい」




私は確信した。


彼は、沖矢昴は……赤井秀一だと。




「A、俺は……」

「沖矢、さん?」




頰にあった手が私の後頭部に、もう片方の手は腰に回る。


ゆっくりと、彼の顔が近づく。


あれ、なんかデジャヴ。


これはあれだ、あの流れだ。




「お、きや……さ」




あと数センチ……のところで、私は唇を手でガードした。




「……A?」

「貴方、やっぱり赤井さんですよね?」




私が確信めいた顔でそう言うと、沖矢さんはフッと笑った。




「それは……」




何かを言いかけた彼の言葉は、ガチャリと言う扉の開く音で飲み込まれた。




「昴さん、こっちにコナンく……」

「ちょっと、蘭。どうしたのよ」




私と彼を見つめて目を見開く長い髪の女の子。


その後ろから、茶髪の女の子が顔を出す。




「……え、うっそ!彼女!?昴さん彼女いたの!?」

「え、あ……」




見られた場面は、彼女が言ったように恋人ととられてもおかしくない場面。


どう見ても恋人がいちゃついているように見える。




「きゃー!彼女さん可愛いですね!ねぇ、蘭!」

「え、うん。その髪、すごく可愛い」

「え、あ……有難う」




女の子に可愛いと言われてしまった。


その言葉だけで私は舞い上がる。


いや、そうじゃない!




「えっと、これは……違くて」

「照れなくてもいいですよー!昴さんもこんな可愛い彼女がいるなんて、隅に置けませんね!」

「ええ、そうですね」

「え、ちょっと!」




誤解をそのままにしようとする彼、私は焦った。

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明里香(プロフ) - JK探偵1、誤字がありました。「決して話そうとしない」ではなく、「決して離そうとしない」です。 (2018年12月31日 16時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - ストーカーじゃない5、誤字がありました。「見ら見つけながら」ではなく、「睨み付けながら」です。 (2018年12月31日 16時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - あくまでも3、誤字がありました。「恋したください」ではなく、「恋してください」です。 (2018年12月31日 16時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
スラズ(プロフ) - 安寿香さん» ご返信が遅くなり申し訳ございません。真純ちゃんバージョンももちろん書こうと思っておりますので、ご安心ください。 (2018年9月6日 17時) (レス) id: c0ac2b12b9 (このIDを非表示/違反報告)
安寿香(プロフ) - 真純ちゃんが彼氏だったらを見たいと思うのは私だけだと思いますが書いてもらえたら嬉しいです。 (2018年9月5日 17時) (レス) id: 491c0ff4a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スラズ | 作成日時:2018年6月6日 21時

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