モテたいわけじゃない。【名探偵コナン】

紅い人？1 ページ14

「卵とキャベツと……」




仕事が忙しく、滅多に帰ってこない母親が帰ってきた。


母子家庭だし、仕方のないことだとはわかってる。


中学を卒業するまでは、ちゃんと夜も帰ってきてくれていた。


それだけで、満足している。




「……これは、母さんが得意なお好み焼きかな」




お好み焼きに得意も何もあったもんじゃないけど、母さんはこれくらいしか作れない。


お好み焼き以外はほぼ不味いと言ってもいいくらいに、料理ができない。


そうすると、必然的に自分で作るようになった。


『あんたが料理上手いのは、私のおかげね！あとその可愛い顔も！』とか言ってた。


私はどちらかというと、父親似なのだけれど。


まぁ、親子関係は悪くないと思う。




「あとはー」




ラインで送られてきた買い物リストを見ながら歩いていると、前から眼鏡のイケメンが見えた。


この人も料理するんだ、なんて考えていたら、後ろから思いっきり誰かにぶつかられた。




「わっ」




ぶつかられた箇所は痛み、衝撃でバランスが崩れる。


来るであろう痛みに備えて、目をぎゅっとつぶる。




「大丈夫ですか？」




しかし、私にきたのは痛みではなく暖かさ。


誰かが受け止めてくれたようだ。




「あ、有難う、ございます」




さっきのイケメンだ。


自分の買い物カゴを床に落としてでも、私を受け止めてくれたのだとわかった。


ちなみに言うと、私の買い物カゴも床に落ちている。


卵が割れなかっただけ良しとしよう。




「っ……」

「……ところでそこの貴方、今、わざと彼女にぶつかりましたよね？」

「ち、ちが！」

「ぶつかったと言うよりも、手で叩くように彼女の背を押しましたよね？」

「そんなことしてない！！」




イケメンに追い詰められて、私にぶつかった女の子は恥ずかしいやら屈辱やらで顔が真っ赤だ。




「あ、あの、もういいです。怪我もなかったですし」

「……いけませんよ。こう言うことを放っておくから、エスカレートしていくんです」

「はぁ」

「それに、そこの女性が貴方に対して行ったことは、傷害罪という立派な犯罪ですよ」




犯罪というキーワードを聞いて、真っ青になる彼女。




「わ、わたしは……」

「まぁ、罪にしたいというなら、警察に調べてもらいましょうか？今の警察は優秀ですから、服からも指紋がとれますよ」

「っ！……わ、たしはっ」




だめだ、見てて可哀想になってきた。

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