未完成物語【アニメ色々】

13.桜舞う本丸の＿＿【リボーン・刀剣乱舞】 ページ29

「歴史を修正したとして、彼らは何を得るんだろうか」




美しい少年は、そう言った。


誰に言ったのか、どこで言ったのか、何のために言ったのか……全てわからないまま。


彼は刀剣達を纏める審神者であり、ただの子供である。


ただの……とは言えないかもしれないが、まぎれもない子供である。




「……修正は目的のための手段に過ぎない。彼らは何を目的として歴史を修正するのだろうか」




彼は齢10の子供にして、審神者の頂点に君臨している。


『サクラ』様と崇められる彼は、最年少の『サクラ』として生きる伝説となっていた。




「まぁ、彼らが歴史を修正するのはどうでもいいんだよね。はっきり言うと」




美しい少年はそう言った。


審神者らしからぬ、『サクラ』らしからぬセリフだ。


しかし、それは少年の本心であった。




「俺が困るのは、それによって兄さんの未来が変わるかもしれないってこと」




彼には中学生の兄がいた。


運動も勉強もできない、ダメダメの兄が。




「俺は兄さんが好き。情けないけど、ヘタレだけど、兄さんの手は暖かい」




少年はもっと幼き日を思い出す。


チワワが怖いと泣いていた兄が、しっかりと手を握ってくれて、年上の相手から少年を庇うように立った。


震えながらも、兄は必死に少年を守ろうとしてくれた。


そんな兄のことを少年は……




「そんな兄さんだから、守りたいって思ったんだ」




そう……これから危ない道へ足を突っ込もうとしている兄を、少年を守った兄を……。




「兄さんは安心して、ボスになるといい。今度は俺が守る。俺は、それだけの力を手に入れた」




審神者は刀剣の付喪神を顕現し、力を借りて歴史を守る。


そして審神者の頂点の『サクラ』は、ある特典が付いてくる。


現世で刀剣男士を帯刀することが唯一許される。


帯刀と言っても、名で縛り契約し、いつでも呼び出せるようにすると言うことだ。


彼はこの特典のためだけに、審神者になった。


兄を守るため、彼はその力を手に入れた。


少年の名は沢田A。


審神者名は、そのまま名前をとってA。


マフィアボンゴレの10代目候補、沢田綱吉の実の弟である。

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