及川さんの憧れの天才【男主・ハイキュー】

憧憬34 ページ36

「やっぱ、強いなっ……」




優ちゃんが手で汗をぬぐいながら、俺にそう言う。


確かに、白鳥沢中学……強い。




「うん。強い……けど、勝てない相手じゃないよ」




1セット目は俺たち北川第一がとった。


今は第二セット目、24-20。


これをとれば……俺たちの勝ちだ。




「優ちゃん、まだいけるよね？」

「おう、任せろ」




頼んだよ、エース。




「勝とう、このチームで」




相手からのサーブ、俺たちの頼もしいリベロが完璧にあげてくれる。




「A、頼んだ！！」




リベロから託されたこのボール。


やっぱり、最後はエースに……。




「優ちゃん！」




優ちゃんの得意な、ネットに近めの、高いトス。




「任せろっ！！」




優ちゃんが一旦沈み込んで、思いっきり飛ぶ。


優ちゃんが打ったそのボールは、相手のコートに落ちた。


落ちた。




ピッピッピーーーー




終わりの笛が鳴る。


いや、鳴った。




「……」

「A！」




勝った……？


25-20。


セットカウント2-0。


レギュラーが褒めあい、喜びを分かち合った。


その後すぐに挨拶をして、表彰式にうつった。




もちろん、優勝は俺たち北川第一。


キャプテンとして、俺が表彰状を、副キャプテンとして三年生の先輩がトロフィーを受け取りに行った。


優勝したんだと、実感した。




「やったな」




小さな声でそういう優ちゃん。


俺も喜びを隠しきれずに、うんと笑った。




「ベストセッター賞、北川第一結城A」




そんな時だった、俺の名前が呼ばれたのは。




「え？」




「ベストリベロ賞＿＿＿」
「名前を呼ばれた人は、前に出てきてください」




俺も、呼ばれた……よね？


俺の後ろにいた優ちゃんに表彰状を渡して、俺はまた前に出た。




今日二枚目の表彰状。


ベストセッター賞。


この賞は、俺の、俺たちのスパイカーが一番力を発揮できた証拠。




「……二年連続の、ベストセッター賞」




こんなに嬉しいことって、ほかにあるかな？

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