及川さんの憧れの天才【男主・ハイキュー】

憧憬24 ページ26

「今年もこの季節がやってきた」




監督とアイコンタクトをとり、俺は話し始める。




「総合体育県予選、もちろん今年も優勝を狙う。全国に行く」




今日は、監督からそのメンバーが発表される。


リベロ2人とセッター2人、ウィングスパイカー4人、ミドルブロッカー4人の12人が選ばれる。




「監督から、まずはスタンディングメンバーを発表していただきます」




監督と目を合わせて頷く。


すると、監督は一人一人選手の名前を読み上げる。




「ウィングスパイカー、早水」

「はい！」




優ちゃんはもちろん選ばれた。




「主将兼セッター、結城」

「はい。有難うございました。続いてベンチのメンバーの発表をお願いします」




こうして、総体のメンバーが決まった。


他の子達は上の観戦席で応援となる。




「選ばれた人も選ばれなかった人も、目指すものは一つ。優勝して、全国行くぞ！」

「「おう！！」」

「それじゃあ、練習はいって」

「「はい！！」」




よし、俺も練習……




「結城、ちょっといいか？」

「？監督、何ですか？」




練習に入ろうとしたら、監督に呼ばれた。


監督のそばに行き、話を聞く。




「お前は、及川のことどう思う？」

「……どう？」

「及川のバレーについてだ」

「……徹君の」




バレー……？




「……いい選手だと思いますよ。彼はこれからもっと伸びる」

「……そうか」

「何か、心配なことでも？」

「いや、及川は確かにすごいセンスだと思う。バレーという一つの競技なら、お前と同等のセンスを持っている」




……そういうの、恥ずかしいからやめてほしいな。


そう思うが、口に出すと話が進まないのでぐっとこらえる。




「だか……及川はお前と違って天才ではない」

「……え？」

「どこまでいっても秀才どまりだ。凡人の延長線上でしかない」

「か、んとく？」

「……いつか、及川は壁にぶち当たるだろう」




監督は及川の方を真っ直ぐ見てそういった。


……壁にぶち当たる？




「及川のこと、頼んだ」

「はい。……と言っても、俺は三年になったらすぐに引退するつもりです」

「そうなのか？」

「はい。少しでも早く、新しいチームに馴染んでもらいたいですから」

「……そうか、お前が決めたことなら文句は言わん」




理解力のある監督で、俺は嬉しいです。


選手のことを一番に考えてくれる監督が、俺は結構好きだったりする。

憧憬25→←憧憬23

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す