及川さんの憧れの天才【男主・ハイキュー】

憧憬18 ページ20

「A、徹、こっちだ」




徹君の家を出てから、優ちゃんとハジメ君と合流した。




「ごめん、遅かった？」

「いや、俺らも今来たところ」




なんて、カレカノみたいな会話をする。


クラスの子達やバレー部の先輩方は、俺と優ちゃんを恋人だと言う。


いや、俺も優ちゃんもそっちのけはないから。




「じゃあ、行こうか。ここから15分くらい歩いたところ」




四人で並んで歩き出す。


端っこがハジメ君と徹君、真ん中が俺と優ちゃん。


俺が徹君の隣で、優ちゃんがハジメ君の隣。




「Aさんの家ってどんなのですか？」

「どんなのって……普通の家だよ」

「いや、こいつの家はマジでかい」

「そんなことないよ」




優ちゃんは昔からそういう。


本当にそんなことないのに。




「どのくらいっスか？」

「あー……見ればわかんだろ」

「それもそうですね、楽しみですね！」

「そんな楽しみにされても、何もないよ？」




俺の家は本当に何もない。


まぁ、行けばわかるだろう。




「Aさーん、テストで50点以上とったらご褒美下さい！」

「え？」

「ね？可愛い後輩のお願いですよー」




……50点以上じゃ、あげられないな。




「学年で10番以内に入れたら、ご褒美あげるよ」

「えっ！？それは、ちょっと無理があるかと……」

「大丈夫だよ、俺が教えるんだし」

「こいつ教えんのうまいから、10番以内なら大丈夫だと思うぜ？まぁ、お前の頑張り次第だが……」




教えるからには、徹底的に。




「もちろん、優ちゃんも10番以内を目指してもらうから」

「わーってる」

「あ、ハジメ君も、10番以内とれたらご褒美あげるね」

「あざっス」




ご褒美か……何がいいかな？


おっと、その前にちゃんと勉強しないとね。


俺も順位落とさないようにしないと。




「Aは今年も首位狙うんだろ？」

「もちろん」

「Aさんって頭いいんですね」

「別に頭がいいわけじゃないよ。勉強ができるだけ」




頭がいいと勉強ができるはイコールではない。


それはまた、別物だ。




「徹君やハジメ君が得意なことがあるように、俺はその得意なことが勉強ってだけだよ」

「いやいや、お前は何でもできるだろ？」

「そんなことないよ」




何でもなんてできるわけないよ。


俺ができるのは、今までやってきたことだけ。

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