及川さんの憧れの天才【男主・ハイキュー】

憧憬13 ページ15

「有難うございました」

「うん、有難うございました」




放課後の居残り練習が終わった。


居残り練習なんて一年の頃以来だ。




「優ちゃん、岩泉君、そろそろ帰ろうか」


「おー、そうだな」
「はい」




2人に声をかけて、着替えて片付けて部室の鍵を返して……やることをやって学校をでた。




「岩泉君は家の方向どっち？」

「岩ちゃんは俺の家の近くです！」

「何でお前が答えるんだよ」




なら、岩泉君も一緒に帰れるね。


優ちゃんと俺はいわゆる幼馴染み。


家は隣だから、すごく便利だ。




「ふふっ。ほら、帰ろう」




まだ口喧嘩をしている2人と優ちゃんに、そう声をかけた。


喧嘩するほど仲がいい、その通りだね。


2人は、幼馴染み……なのかな？




「ねぇ、2人は幼馴染みなの？」

「そうでーす！」

「認めたくないっスけど」

「何で！？」




岩泉君は口ではそう言ってるけど、とても楽しそうだ。


いいコンビになるだろうな。




「あ、早見さんと結城さんも幼馴染みなんスか？仲良いし」

「うん、物心つく前から一緒にいたらしいよ」

「親同士が仲良かったしな。俺とAの性別が違ったら、結婚させるつもりだったらしい」

「え、何それ。俺初めて聞いた」




母さん達はそんなこと考えてたのか。




「……」

「……？何かな、及川君」

「いえ、名前呼びいいなーって思いました」

「え、名前呼び？」




優ちゃんと顔を見合わせて、2人で首を傾げて及川君に問う。




「えっーと、どう言うことかな？」

「俺も名前で呼んでいいですか？」

「名前で？うん、構わないけど」

「じゃあ、Aさんと優ちゃんさん！」

「ちゃんにさん付けはやめろ」




優ちゃんさん、俺が優ちゃんって呼ぶからかな？




「Aお前のせいだな。俺がちゃん付で呼ばれるのは」

「だって、気がついたら優ちゃんって呼んでたんだもん」




優ちゃんとちょっとした喧嘩をしていると、おずおずと岩泉君が話しかける。




「あの、俺も名前で呼んでいいですか？」

「おー、何でもいいぜ」

「何か仲良くなった感じがするね」




……俺達も及川君、岩泉君じゃない方がいいのかな？




「徹君と一君……でいいかな？」

「！……はい！Aさーん！」

「おい、やめろ及川！」

「おー、じゃあ俺も徹とハジメって呼ぶ」




抱きついてこようとするおい……じゃない、徹君、それを止めようとする一君、呑気な優ちゃん。


……今、すごく楽しい。

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