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なんて思いながら部屋に置いた写真立てに目を向ける。
1年前、蓮の中学校の卒業式で撮った兄弟4人の写真。
まだ亮平が元気に歩けていた頃の、写真。
志望校も固まり出して、大学行くために体調管理もちゃんとするって意気揚々としていたあの頃を思い出してしまう。
あんなにキラキラした目を見なくなったのは、いつからだっただろうか。
その刹那、亮平が俺を呼んだ。
ry「に…ちゃ、」
「うん？」
亮平の額の汗を指で拭いながら、次の言葉が紡がれるのを待つ。
俺たちの周りに流れる時間は今までで感じたことのないほどとてもゆっくりだった。
嫌に遅いのではなく、心地よい緩やかさ。
ずっとこのままでいいのに。
それは俺だけでなく亮平も同じようで。
ry「…おれ、もっと、いきたい…」
「……うん」
唐突な亮平の言葉に、たった2文字言うだけで少し声が震えたのが分かった。
ry「に、ちゃん、と…ひか、と、」
「っ、うん、」
ry「れんとっ、…まだ、このいえ、に…いたい、っ」
少し潤んでいた目から段々と水分が溢れ出し、ポロポロと粒を落とし始めた亮平。
「大丈夫だって、な」
ありきたりで根拠のないことしか言えない自分にもどかしさを感じつつ、掬うようにしてそれを拭き取ってやる。
亮平の頬を滑らせた自分の手の甲に落ちた水滴を見て、俺自身も泣いてることに気づいた。
今まで誰も触れてこなかった亮平の命の短さ。
それは誰よりも本人が1番身をもって感じていたのだと、改めて思い知らされる。
「亮平は強いから、大丈夫だから、」
自分に言い聞かせるように呟いて、柄にもなく亮平をぎゅっと抱きしめた。
絶対に亮平を失うものか。
兄として、守り抜く使命が俺にはあるから。
この先も亮平と、兄弟4人で生きていくから。
＿＿＿＿
『特発性拡張型心筋症【緑】』 fin.
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みみずく。(プロフ) - コメント失礼します。よければ翔太くんメインの話が読みたいです。 (2021年1月4日 21時) (
レス) id: 23fb9957a6 (このIDを非表示/違反報告)
かき - コメント失礼します。難しいかもしれませんが、ぜひ黄色さんメインをお話も拝読したいです。よろしくお願いします！ (2020年12月22日 12時) (レス) id: edbdc5a7da (このIDを非表示/違反報告)
和 蓮 .(プロフ) - よければ蓮くんメインのお話が見たいです。 (2020年12月22日 7時) (レス) id: 888c904e00 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - コメント失礼します。桃さんメインのお話がみたいです。 (2020年12月21日 18時) (レス) id: f09ccc8f4c (このIDを非表示/違反報告)
おりょうり(プロフ) - ききさん» リクエストお願いします！舘様メインであべなべが看病するおがみたいです！内容は作者様におまかせします！ (2020年12月21日 17時) (レス) id: 809f062d73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きき | 作成日時：2020年6月13日 15時
