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康二が家を出て行った。
「ねえ僕も探しに行きたい」
「だめ、ラウールもいなくなったら大変」
「康二兄ちゃんまだ見つからないの？」
「もうすぐだから、大人しくしてな」
兄ちゃんたちが康二を探しに家を出てからかれこれ30分は経ったけど
未だになんの連絡も来ない。
さっきからずっと喋ってるラウールの顔にはいかにも心配ですって書いてあるし
翔太兄ちゃんも落ち着きがない様子。
早く康二を見つけなければ。
俺はその思いでいっぱいだった。
兄ちゃんたちが手分けしても見つからないとすれば
康二はきっと…
「俺行ってくる」
机に置いていた携帯だけを手にして
俺は家を飛び出した。
「は！？お前が1番家にいなきゃだめなんだけど！」
後ろから翔太兄ちゃんがなんか言ってるけど知らない。
ただ今は弟のためだけに俺は走るしかなかった。
康二がどこにいるか目星はついていた。
それは康二が俺らと家族になってすぐのこと。
康二の少し特徴のある話し方はこの街の子供たちには珍しかったようで
毎日学校から帰ってきては今日も揶揄われたと俺らに泣きついていた。
「康二、いいとこ教えてあげる」
そんな初めてできた弟を見かねて俺が連れていった場所。
「…わ、すげ……」
「でしょ？兄ちゃんたちも知らない、俺のとっておきの場所なの」
そこは家の裏にある高台の草むらをかき分けた先にある
街を一望できる拓けた丘のようなところ。
「疲れたときとか辛くなったときに、たまにここに来るの。こうやって見るといかにこの街が小さくて狭い世界かって分かるでしょ」
病気だからって腫れ物のように扱われて悔しかったとき
色んなことが上手くいかない日々が続いたとき。
そんな俺をひとつまたひとつと
成長させてくれたのがこの場所だった。
「もっともっと世界には色んなものがあって色んな人がいる。そう思うとちょっと強くなった気がしない？」
「…うん、俺、もうちょっとがんばってみる」
「ふふ、よかった」
それから康二は持ち前の明るさを発揮して友達もできるようになったみたいで
嬉しそうに俺に報告してくれた。
「ほんまありがとう！亮平兄ちゃんのおかげやで」
「そう？それならよかった」
「なになに、亮平なんかしたでやんすか〜？」
「亮平兄ちゃんと俺の秘密！なー？」
「うん、絶対にね」
だからあの場所は俺と康二しか知らない。
後にも先にももう誰にも教えるつもりはないから
俺が見つけるしかない。
3→←アイ アム ア ヒーロー特別編『誰が為に君は駆ける【亮平】』
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みみずく。(プロフ) - コメント失礼します。よければ翔太くんメインの話が読みたいです。 (2021年1月4日 21時) (
レス) id: 23fb9957a6 (このIDを非表示/違反報告)
かき - コメント失礼します。難しいかもしれませんが、ぜひ黄色さんメインをお話も拝読したいです。よろしくお願いします！ (2020年12月22日 12時) (レス) id: edbdc5a7da (このIDを非表示/違反報告)
和 蓮 .(プロフ) - よければ蓮くんメインのお話が見たいです。 (2020年12月22日 7時) (レス) id: 888c904e00 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - コメント失礼します。桃さんメインのお話がみたいです。 (2020年12月21日 18時) (レス) id: f09ccc8f4c (このIDを非表示/違反報告)
おりょうり(プロフ) - ききさん» リクエストお願いします！舘様メインであべなべが看病するおがみたいです！内容は作者様におまかせします！ (2020年12月21日 17時) (レス) id: 809f062d73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きき | 作成日時：2020年6月13日 15時
