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ふと廊下にぽつり残された赤色のスーツケースが目に入る。
昨日まで二人仲良く準備していたのになあと思い出して心が痛む。
絶対風邪なんか引かさないから！
なんて翔太の方が張り切って体調管理だって万全にしてたのに。
しょうがないで割り切っても割り切りきれないこの気持ちは俺も幾度となく経験してきた。
生まれた時から涼太は楽しいことを自由にさせてもらえていない。
遠足だって運動会だって音楽会だって、涼太の思い出の中にはない。
つくづく神様は不公平だと思う。
そんなことを思いながらこの家にある唯一の部屋の戸を開ければ、涼太が眉間にしわを寄せて眠っていた。
「あっついなあ…」
触れなくとも涼太から熱気が出ているのが感じ取られる。
朝方発熱したというのにもうここまで上がっているのか。
かれこれ17年家族みんなでこの病気と付き合ってきているものの、慣れるものではない。
毎回毎回心配になりながら
どうかただの風邪でありますようにと祈っているのだ。
「涼太、起きて。ちょっとだけでいいからこれ飲もう？」
暑さで額にじんわりと滲む汗をタオルで拭きながら涼太に声をかける。
こまめな水分補給は大切だと耳にタコができるほどお医者さんから言われている。
ゆっくりと起き上がった涼太にコップに入れた経口補水液を手渡せば
ちびちびと飲んではくれるものの、
ry「…まずい」
そう言って2、3口飲んですぐに返されてしまう。
これでもまだ飲んでくれるようになったもんだ。
昔は一滴も受け付けなくてお母さんたちが苦戦していたのを思い出す。
「ここに置いとくから、ちょっとずつでも飲んでね」
そう言って立ち上がろうとした俺の手を何かが掠めた。
と言ってもこの場には俺と涼太しかいないわけで
それがなんなのかはすぐに分かったのだが。
「どうした、しんどい？」
中腰の体制を変えベッドの側に座れば微かに声が聞こえる。
ry「あた、ま…」
「頭？痛いの？」
少し声を落としてそう聞けばゆっくりと頭が動くので、そっと撫でてやる。
さらさらな黒い髪は昔から変わらない。
「熱高いからかなぁ…、薬飲もっか？」
ry「ん…」
病院で前に貰っていた薬を取り出す。
このまま病院に行かずに済めばいいのに。
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みみずく。(プロフ) - コメント失礼します。よければ翔太くんメインの話が読みたいです。 (2021年1月4日 21時) (
レス) id: 23fb9957a6 (このIDを非表示/違反報告)
かき - コメント失礼します。難しいかもしれませんが、ぜひ黄色さんメインをお話も拝読したいです。よろしくお願いします！ (2020年12月22日 12時) (レス) id: edbdc5a7da (このIDを非表示/違反報告)
和 蓮 .(プロフ) - よければ蓮くんメインのお話が見たいです。 (2020年12月22日 7時) (レス) id: 888c904e00 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - コメント失礼します。桃さんメインのお話がみたいです。 (2020年12月21日 18時) (レス) id: f09ccc8f4c (このIDを非表示/違反報告)
おりょうり(プロフ) - ききさん» リクエストお願いします！舘様メインであべなべが看病するおがみたいです！内容は作者様におまかせします！ (2020年12月21日 17時) (レス) id: 809f062d73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きき | 作成日時：2020年6月13日 15時
