141. リハーサル ページ41
広いスイートルームだから、スタッフの人たちが入ってきても全く問題はない
私は窓際へ運んだ椅子に座って、慌ただしく動く人々を少し緊張しながら目で追っていた
「急遽変更する必要があるので、簡単なリハーサルを済ませておきたいんですが」
え…もしかして。ここで歌うの？
「キュヒョンはここへ座って。彼女はまだ？」
「もうホテルには到着してるようです」
「メイク道具も彼女が持っています…あ、キュヒョンさん、クロス着た方がいいですよね」
歌のリハーサルが始まるのではと胸を高鳴らせていたが、どうやらメイクのリハーサルが行われるらしい
若いスタッフが座ったキュヒョンに、慣れた手つきでクロスをかけてから前髪をピンで留める
その姿は、世話をされている子供のように見えて可愛らしいと思った直後、その端正な顔立ちについ見とれてしまう
誰一人私の存在を気に留めることなく動きまわっている室内に居座り、ぼんやりとキュヒョンを眺めていた
やっぱり、かっこいいなぁ…
あの顔はたぶん、彼もボーッとしているに違いないけど
あの、ほんの少しあいている唇に、さっき触れたんだ…
信じられない…
ガチャッ―
「アンニョーン！遅くなってごめんなさい！」
「ああ、ジウさん！待ってましたよ」
明るい女性の声と、ほんの少し苛立ったマネージャーさんの声
「まさか呼ばれると思わなかったから〜、ちょっと買い物してました〜」
そちらを見ると、パタパタと動く可愛らしい小柄な女性
この人が、メイク担当のジウさんっていうんだ―
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作者名：Aoi Sakura
| 作成日時：2017年4月17日 8時
