104. 冷や汗 ページ4
キュヒョンから返事が来たのは、翌日のお昼だった
“これから会いに行こうかな〜”
……これから！？
私は驚いてスマホの画面を見返す
カフェの控え室で休憩していた時だったから、この驚いた顔を誰かに見られていないか、きょろきょろと周りを見た
“これからって、私、今カフェで仕事中だけど…”
たぶん冗談だろうけど、一応真面目に返信
すると、
“もう着いた！”
と短いメールが届く
だから、アパートにはいないんだけどな…
なんて返信しようか考えていると、控室にハヌルがやってきた
「A、お客さんだよ」
「えっ？」
「キュヒョンさん」
お店へ戻って行ったハヌルを追うように控え室を出ると、キュヒョンとマネージャーさんがコーヒーを注文しているところだった
ハヌルはいつも通り、優しい表情で接客している
二人が顔を合わせているなんて、変な汗が出てくるよ…
「Aさん、こんにちは」
「こ、こんにちは…」
なぜか日本語のキュヒョン
「今夜、僕、アパートへ行きます。お茶しませんか？」
「は、はい…」
ひきつった笑顔の私の答えに、満足そうににっこり微笑むと、
「どう？発音とか…間違ってなかった？」
と今度は韓国語で聞いてくる
「う、うん！バッチリ、完璧」
「もうすぐ始まるツアーのために勉強してるんだ」
「そうなんだ」
「あ、ハヌルさん、コーヒーはテイクアウトで」
キュヒョンはとにかく自然な様子で、どちらの言葉もわかる私だけが、ひとりで冷や汗をかいていた
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作者名：Aoi Sakura
| 作成日時：2017年4月17日 8時
