330．バスに揺られて ページ13
到着したのは、レンヌ駅
パリとは違う郊外の街並みだが、都会的で大きな駅だ
「ここからは、バスに乗るよ」
キュヒョンに手をひかれるまま、大型バスへと乗り込む
乗客はほとんどいない
長距離専用らしく、ずらりと並んだ二人掛けの席の一番後ろに座った
景色は住宅地を抜けて、あっという間にのどかな田園風景になる
優しい緑が風に揺れ、ひと気はなく、少し寂しい
本当に…どこへ向かっているんだろう
キュヒョンと一緒ならどこでもいい
街でも田舎でも、海でも山でも、幸せだ
しかしそうは言っても、遠いヨーロッパで今どこにいるかわからないなんて、やっぱり少し不安になる
隣に座るキュヒョンは、いつもと変わらない飄々とした雰囲気で、反対側の車窓から、景色を眺めていた
すると、そわそわしている私に気づいたらしい
「A、どうしたの？」
「ん…どこに行くのかなぁって、やっぱり気になって」
「だから、姫のためのお城だよ」
「お城って…本当のお城？」
ヨーロッパには、貴族の古城がある
そういうところに宿泊もできるみたいだ
「正確には、お城じゃないけど」
「え？」
「まぁ、寝てていいよ。起こしてあげるから」
「・・・」
私は諦めて寝ることにした
キュヒョンの肩に頭を乗せて、彼の体温を体の半分に感じながらー
本当にどこかー
私たちのことを誰も知らない土地に行って、生活したら、楽しいかなー
二人だけの世界
でもきっとそこでは、キュヒョンも私も、今の自分ではいられなくなる
キュヒョンは私のためだけに存在し、私はキュヒョンのためだけに存在するようになる
そしたらたぶん、今のこの感覚はなくなるだろう
私たちは、私たちを取り巻く環境で作られていて、そこを抜け出したら、また違う二人になっていくだろう
そうしたらー
どんな二人になるのかな
しばらくしたら、私の頭の上にキュヒョンの頭が降りてきた
柔らかく重なる髪が心地いい
寝顔を見たいけど、私が動いたら起こしてしまうから、我慢しよう
そうして、私は眠りに落ちていった
バスはごとごとと決まったリズムで走り続ける
どこまでも行こう
キュヒョンと一緒に
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cnbluebeen(プロフ) - １日でいっきに読んでしまいました！感情移入してしまって（ ; ; ）続きが読みたいです。待っています。 (2014年10月27日 7時) (
レス) id: 489815dc41 (このIDを非表示/違反報告)
natu(プロフ) - このお話大好きなのにずっと更新されなくて残念です。これで終わってる訳ではないですよね？！続き待ってます！ (2013年8月21日 23時) (レス) id: f5265556f4 (このIDを非表示/違反報告)
Aoi Sakura(プロフ) - ぽんたさん» コメントありがとうございます(^_^)モンサンミッシェルにキュヒョンと行ったら…とピンポイントな妄想に、喜んでいただけて嬉しいです☆これからは幸せ満載な展開にしたいと思ってます！引き続きよろしくお願いします（＾Ｏ＾） (2013年4月23日 0時) (レス) id: 1c76b46239 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - いつも楽しみにしています。フランスのあの辺かななんて想像しながら読んでいます。私の好きな小説に大好きなモンサンミッシェルまでが登場するなんて嬉しすぎます。キュヒョンとずっと幸せな日を過ごせますように。 (2013年4月21日 7時) (レス) id: 52900254e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sakura Aoi
| 作成日時：2013年3月12日 21時
