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深夜12時
着信音で目覚めれば“시이나”と表示されている
駆け足でお爺ちゃんとお婆ちゃんに会いに行って今頃空港にいるはずなのに
そんなことを回らない頭で考えながらゆっくりと携帯に手を伸ばした
“…もしもし”
“ドヨンさん 私達に来るべき時がやってきたよ”
唐突にそんなことを言われてもわからない
時は満ちたみたいな雰囲気だけど全くわからない
寝ぼけ声なんて気にせず話を進めるなんていくら相手が俺でも珍しい
“…A”
“何？”
いつもより若干高い声色も珍しい
何かに集中しているのか
何とも言い難い間合いで電話をしながら来るべき時に向け何かの準備でもしているだろう
“良いことがあったの？”
“うん” “ドヨンと一緒に夢の国に行こうと思って”
当然のように紡がれた言葉に可愛いやつだなと思う
天候不順で延期となった撮影は1日がかりだったから夢の国で目一杯遊べると
いつもなら既存スケジュールへの影響に遠い目をするのに今回だけは嬉しかったって話すからやっぱり可愛い
“写真沢山撮ろうね”
“うん 待ち合わせどこにする？”
あぁ 今の言葉を全世界に聞かせたい
クユズ万歳
キムドンヨン万歳
夢の国万歳
あのAが前のめりで聞いてくれることなんてこの先あるのだろうか
そんな奇跡みたいな瞬間を俺は噛みしめた
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｢マジで本気のやつだ｣
｢既婚者の模範解答どうぞ｣
一歩後退したどよちを捉えユンマネにパスすれば“いつもと雰囲気が違くて可愛い”と2度目の台詞が聞こえて拍手
既婚者ピーッ！と風紀委員発揮しちゃう人は私限定でリアコ製造機にはなれないらしい
自己満足の塊である私のテンションが若干下がったのだから
｢他の女の子には流石に違うよね？｣
｢可愛いんだよ… うん可愛い…｣
こんな時こそ褒めて欲しいのに気まずそうに視線を逸らされる意味がわからない
｢どこが？どう？｣
詰め寄れば俺を弄るな！と発狂したからこれぐらいにしておこう
大笑いするユンマネの“ドヨン照れるなよ”とのお言葉にへぇ珍しいと視線を向ければ怪訝そうな顔をされたからいつもの調子ねと内心相づちをうった
｢こっちも似合う｣
｢一番可愛いの選んでね｣
｢こっちもいい｣
夢の国では少しでも可愛い姿で遊びたいと意気込んでいた私の被り物を真剣に選ぶどよちは片鱗を見せ始めてきた
都度髪の毛まで整えてくれるとはやはりお主は伊達にリアコ製造機をしていないなと感心だよ
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作者名：nami | 作成日時：2024年1月21日 20時
