Impatiens 4 (ページ6)

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やっと娘の専属シェフになる気になったんだ

早くカヌレを食わせたいわ

父さんってパティシエにもなれるよね

娘に好かれる為に必死や

2baddies活動期の明け方の控え室

振りを確認しながらスピーカーで通話するAは時差があるニューヨークとたまにこうして連絡を取る

怒涛の日本語に誰も割り込まないのはいつものこと

父さん母さんとの呼び名に俺が驚くのは毎度のこと

｢Aパパ来韓ですか？｣

｢お、悠太君元気？来月仕事で行くで｣

欲しいもんあったら言ってやと気前が良いお方は本当に買ってくれる

もうすぐ誕生日やろ？と逃げ道を塞ぐ速さもそんな血筋も見事に娘に受け継がれている

そんでもってAの遺伝子の根源は問答無用でイケオジなわけ

私のマンション来る？

噂の大豪邸

確かにキッチン立派

亜紀が妬きそうやけど飯とガヤは任しとき

悠太君も1日ぐらい夕飯一緒にどうや？

ソファーに座ったAが“タダ飯だよ”とミシュラン3つ星シェフを扱うから苦笑い

｢Aパパの手料理なんて毎日食べたいですよ｣

｢明日にでも韓国行くかリクエストあれば遠慮なく言ってな｣

父は職業人としての姿を背中で見せてくれました

尊敬しています

そう語るようにこんなに気さくな人は料理人として全く違う顔を持っている

せや藍って何ベ？

何ベ？ぶじゃなくて？

帰宅部忘れるわけないやろ

イエベブルベの話や

50代男性の話題？と驚いたAは美容オタクのくせに診断を拒んでいる

父さん的には？との返しに“藍は何でも似合う”と娘を理解した甘い言葉が聞こえてきた

｢Aベですよ何でも雰囲気出るので｣

｢悠太君それ見たブルベかと思って調べたら腹抱えて笑ったわ｣

｢聞かなかったことにします｣

｢MBTIはISTJとISTPやな｣

遂に耳を塞いだAに似合うと思ったアイシャドウがブルベに合うとAママに言われたらしい

にしても相変わらず洒落た親父さん

“Eさんサヨウナラ”と通話を終了させた奴の基準だ

“ヌナ俺もAパパに会いたい”

早速バックバグでおねだりするコイツは似ている

頭の回転の速さも

口の達者さも

軽快さに時折含まれる甘さも

Aの取扱い説明書は難解だ

高度な読解力と推敲力が求められるし正解ではなく最適解を導く必要性がある

そんな難儀な奴を計算尽くして甘やかしている末っ子に感服する

緻密なヘチャンの愛が身に染みているからこそ特別可愛がるんやと俺は思う