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SOULTRiiiのスタジオに足を踏み入れ“見学すれば”と言ったDEEZに甘え今に至る
｢曲を貰いに来た｣
｢相談相手を間違えてるな｣
｢バラードも作るだろ？｣
｢作るが企画には合わない｣
親しい友人とのやり取りだからスタッフは笑っているし首に虎を飼う人物の苦笑を目にしてもDEEZはいつものクールさ
“じゃあツテを紹介してくれ”と潔く方向転換したHIPHOP界の頂点とDEEZの繋がりは非常に不思議だ
大分前からの知り合いらしいけど
｢あぁ お前の挑戦にそれぐらいは｣
｢周りにバラード作るやついた？｣
｢内諾済みで曲も2つもらった｣
｢できるのか暇人なのか｣
おっ！って顔の後にそう続くとは流石だなと思ったし鼻で笑う友人を見てこっちもかと
｢非常に優秀で多忙な人物が大真面目に｣
｢A NCTA｣
俺がここにいる理由は分刻みのスケジュールの中ギリギリまで修正していた音源を届けにきたからだ
Coming Home以降出さなかった否出したくなかったバラード曲を2つも仕上げた
えぇ〜？！超多忙！超有名人！とどよめくスタッフと鋭い表情のJUSTHIS
そんな顔を表情1つ変えずに眺めるDEEZ
｢顔を合わせたことあるだろ｣
｢あるからこそ勘繰る｣
｢俺の周りで正統派のバラードを作れるのは彼女だけだ｣
それ以外何があるという表情の裏には何かがある
そんなことを思うのはAとJUSTHISの縁を知る数少ない1人だからだ
“揺さぶられるんです”
恭しくDEEZに頭を下げる人物は知っているのだろうか
1度しか聞くことが無いと思っていた話を1月にまた耳にした
“あの強さが羨ましい”
帰りの車内でそう溢した
珍しくAの心がざわついていた
悔しそうなでもどこか嬉しそうな複雑な目
｢色が違う至極美しい2つの世界だな｣
繊細で緻密に丁寧に作り込まれた音とここまで清んだ世界はAにしか表現できないだろう
｢ヤバいな｣
｢別格だろ｣
｢あぁ 久しぶりにヤバい奴に出くわした｣
獰猛な光を宿した人とAは9年前に出会っている
頬杖をつき“礼はどうすりゃいい？”と尋ねる人は俺が知らない荒れ狂った彼女を知っている
｢私達が最強の援護射撃となれることを願ってだと｣
何て豪華！と色めくスタッフとは別にじっと宙を仰ぐ彼は何を思っているのだろう
彼女の芯を揺さぶる人物に会ってみたかった
｢恩は売っとくべきだな｣
フッと洩らすように笑った表情と声色、眼差しは鋭くでも無邪気で悪戯で真っ直ぐで温かい
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作者名：nami | 作成日時：2024年1月21日 20時
