3年A組【須永賢】

1-17 ページ19

記号




みんなが散々に澪奈への悪口を吐いていく。



賢くんはたぶん私のために言わないでいてくれている。



(みんなやめて...。)



甲斐「あんなヤツ死んで当然だったんだよ。」



(もうやめて...！)



それでも私は自分の気持ちを声に出せなかった。



こんな自分が嫌になって顔を伏せ目を固く瞑った。



さくら「ふざけんな。」



突然の声に驚き恐る恐る彼女のほうを見る。



(さくら...ちゃん...？)



甲斐「あ？」



さくら「ふざけんじゃねえ！！」



その瞬間さくらちゃんは隼人くんに膝蹴りを食らわし教室がどよめいた。



さくら「あんたたちに何が分かんの！？澪奈の...。何が分かんの！澪奈はいつも凛としてて結局薬 物なんてやってなかったし。なのに情報に踊らされて彼女を追い詰めたのあんたたちじゃない！何で死んでまで澪奈が悪口言われなきゃいけないの？」



彼女の目からは一筋の涙が溢れていた。



さくら「許せない。絶対許せない！」



まるでドンキに殴られたような感覚に襲われ罪悪感が募る。



さくら「けど...。一番許せないのは私だ...。私は...。澪奈を被写体としてしか見てなかった。先生の言う通り...。澪奈が手紙を書いたのはちゃんと意味があった。」



そう言うと彼女はポケットから澪奈からもらったであろう手紙を取り出した。



さくら「“さくらとは友達になれない”。」



さくら「にじんでるの...。」



さくら「“なれない”の文字が...。」



さくら「澪奈の涙でにじんでるの...。」



(そうだ...。澪奈に限ってさくらちゃんにそんなこと言うはずない...。)



さくら「手紙を書いたのはきっと“違うんだよ”って伝えたかったから...。」



さくら「ホントは“ずっと友達だよ”って伝えたかったから。」



さくら「私はそれに気付こうとしなかった。気付かないふりをした。怖かったから。私も澪奈みたいにみんなに無視されるのが怖かったから。」



さくら「私は...澪奈のSOSを踏みにじった。澪奈が自 殺したのは...。私のせい。私のせいで...澪奈は命を絶った。」



さくら「ごめん...。ごめんね澪奈...。」



さくらちゃんの言葉に気付けば私も泣いていた。





記号

1-18→←1-16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す