キスしないと出られない部屋(モニカ×エルナ。モニカ視点)前編 ページ4
『キスしないと出られない部屋です。10分以内に実行してください』
二人の少女の前で、モニターが正気とは思えない文章を写し出していた。
やたら明るい蛍光灯が煌々と部屋の内装を照らし出している。
だだっ広いが、モニター以外は何も置かれていない、真っ白な部屋だ。
「「…………」」
そんな空間の中で、モニターの文章を見つめながら黙りこくる少女が約二名。
まるでフランス人形のような高貴な雰囲気を漂わせる金髪の少女、エルナ。
それから、個性という個性を全て削ぎ落としていながらも、どこか超然とした雰囲気を放つ蒼銀髪の少女、モニカ。
二人の頭には大量のクエスチョンマークで溢れかえっていた。
そりゃそうだ、物語冒頭からこんな意味不明の部屋に閉じ込められ、キスをしろと命じられているのである。
「……の」
エルナが何かを言いたそうに首を傾げた。
「……何?」
モニカがちらりとエルナの顔を覗くと、エルナはあわあわと手を振った。
「な、なんでもないの……」
目を逸らされる。
モニカはため息をつき、後ろのドアを振り返った。
(はぁ、誰のイタズラなんだか……ま、どうせ鍵なんてすぐに壊せ「エルナ、やるしかないと思うのっ!」
「なんでさっ?」
突然の宣言だった。
まさか本当にやる気なのか。
「闇雲に鍵を破壊するより、そ、そっちの方がきっと確実なの」
ぐっと拳を握り込み、たどたどしく説明してくれる。
マジか、と呟いて、モニカは目を細めた。
「……あのさぁ、張り切ってるとこ悪いんだけど」
「の?」
「ここ、ボクとキミしかいないから、必然的にボクとキスする事になるよ?キミはそれでいいわけ?」
実に真っ当な質問だったし、エルナを迷わせるにはちょうど良い言葉だ。
「……え、えっと……」
案の定、エルナは困ったように顔を俯かせる。
(はあ……ほら、どうせまたいつもみたいに怖がられ「むしろ、エルナはモニカお姉ちゃんが、いやじゃないのか気になるの……」
「…………」
まさかの返答だった。
おかしい。今日は妙に調子が狂わされている気がする。
こんな意味不明の場所で意味不明の状況に陥っていれば当然の事ではあるかもしれないが。
「……やっぱり、モニカお姉ちゃんは……いやなの?」
綺麗な濡羽色の瞳が上目遣いで見つめてくる。
……可愛い。が、それ以上に圧が強い。
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亜月 - カレンさん» 読みましたよーーー!!!最後!!最後の挿絵、、、、 (2021年12月9日 11時) (レス) id: 1f8ff7c796 (このIDを非表示/違反報告)
カレン - pixivから飛んできました!めちゃくちゃ尊いです... ちなみに亜月さん6巻読みました...? (2021年11月24日 21時) (レス) id: aacf8bdcb4 (このIDを非表示/違反報告)
亜月 - おぉー!ありがとございます、、グレーテ×ティア読んできました! (2021年5月16日 15時) (レス) id: ae5d374ab3 (このIDを非表示/違反報告)
あも - 亜月さん» エルナとクラウス……!!ほんとうにかわいいです、なんかモチベになりました(あ) (2021年5月15日 15時) (レス) id: e2902b121b (このIDを非表示/違反報告)
亜月 - 遥世さん» あぁぁぁありがとう、、そうなんですよ、ジビアさんイケメンに書けるよう頑張りました! (2021年5月2日 21時) (レス) id: 9200735183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜月 | 作成日時:2021年3月6日 20時