甘い微熱に指先を結んで 続き1 ページ20
すると彼女は、くすりと笑ってモニカの頭を撫でてきた。
「……別に、謝ることじゃねぇよ?むしろ」
くすぐったいんだけど、と返しながら問うてみる。
「むしろ?」
ジビアは悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。
「嬉しかった。まさか、お前が『したい』なんて言い出すと思わなかったけどな」
よりにもよってそこを最初に指摘するか、恥ずかしいのはこっちだぞ。
自分でも分かってしまうくらいに真っ赤になった頬をよそに、ジビアが更に続ける。
「可愛かったぞ?いちいち声抑えようとする癖とか、キスするときに『手繋ぎたい』ってねだってくるとことか……まぁ、色々」
「〜〜〜〜っ……」
耐えきれなくなって、腹をぽすぽす殴る。上手く力が入らない。
「キミはさぁ、ほんっとにさぁ……何でいちいちそんなことを言うのかなぁっ……」
何でわざわざ具体的な例を上げ連ねてくるんだ、意地悪が過ぎる。
こいつ、いつからこんな小悪魔的な事を言うようになったんだ。
ついでに言えば、まるで聞き分けの無い子供をなだめるようにモニカの髪を撫でる手も、子供扱いのようで少し悔しい。
たった一歳しか違わないはずなのに。
「まぁ、今くらいしかお前に年上ぶれる機会なんて無いからな」
モニカの心情を知ってか知らずか、ジビアがそんな事を呟く。
お姉ちゃんと呼んでも良いんだぞ、と冗談っぽく付け加えてきた。
エルナじゃあるまいし、と思ったけれど、試しに乗っかってやることにする。
年上のメンバーをお姉ちゃんと呼ぶエルナの事を、ジビアは随分と可愛がっていたのを思い出した。
「……確かにね。普段ももうちょっとしっかりしたらどうなのかな。……お姉ちゃん?」
澄ました顔がキープ出来ない。
まさか乗っかってくれると思わなかったなぁと楽しそうに微笑む彼女から目線を反らし、キミは馬鹿か、と溢す。
悪態をついてばかりだ。
もう少し素直になりたいとは思う。
でも、どこまで自分のわがままにジビアを付き合わせて良いのかも分からない。
こうして二人きりでじゃれていられるのも、少しの時間だけだ。
誰にも聞こえないように、声を潜めて。
当然だ。
同じチームのスパイ、それも同性同士が恋人関係を結ぶなど、普通はご法度である。
だから、仲間には絶対に気づかれないように。
二人だけの秘密。
そう決めた。決めたはずだ。でも……。
そんな危うい繋がりで、この先もジビアに愛してもらえるのだろうか。
そんな幼い不安が胸を支配する。
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亜月 - カレンさん» 読みましたよーーー!!!最後!!最後の挿絵、、、、 (2021年12月9日 11時) (レス) id: 1f8ff7c796 (このIDを非表示/違反報告)
カレン - pixivから飛んできました!めちゃくちゃ尊いです... ちなみに亜月さん6巻読みました...? (2021年11月24日 21時) (レス) id: aacf8bdcb4 (このIDを非表示/違反報告)
亜月 - おぉー!ありがとございます、、グレーテ×ティア読んできました! (2021年5月16日 15時) (レス) id: ae5d374ab3 (このIDを非表示/違反報告)
あも - 亜月さん» エルナとクラウス……!!ほんとうにかわいいです、なんかモチベになりました(あ) (2021年5月15日 15時) (レス) id: e2902b121b (このIDを非表示/違反報告)
亜月 - 遥世さん» あぁぁぁありがとう、、そうなんですよ、ジビアさんイケメンに書けるよう頑張りました! (2021年5月2日 21時) (レス) id: 9200735183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜月 | 作成日時:2021年3月6日 20時