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君の影は 続き ページ13

叶う事の無い期待だ。

死んだ子の歳を数えるようなものである。

任務で2チームに分かれ別行動をしていた際、アネットの母親を名乗る女性が現れ……、

その後の展開は、ティアに聞かせてもらった。

思い出したくもなかった。

家具に積もった埃を払い、本棚の中身を順番通りに取り出し、まとめ直す。

本は傷みやすい。時々ページをめくって外気に慣らしてやらないといけない。

機械科学の参考書に付箋が大量に貼ってある。

付箋には、少し頭を使わないと解読不可能な走り書きの悪筆で、何かしらがメモされていた。

ーーーーアネットの筆跡。

アネットの自室だったのだから当然のことで、ここには彼女の影を感じる物で溢れている。

本当は、アネットのことを思い出して辛くなってしまいそうな場所だ。

だけれど、何かあった時、どうにもしんどくなってしまう時は、逃げるようにここへ来てしまう。

自分のメンタルの弱さが嫌になるが、こればかりは生来の性格だからどうにもならない。

鬱々とした気分を振り払うように本を閉じる。

ふと、クラウスの「無理をするな」という言葉を思い出した。

やはり、今日はこのくらいで切り上げた方が良いか。

周りを見回し、目に見える汚れは無くなったことを確認する。

手元のマスターキーを拾い上げ、ドアに手を掛けた。


きっとこの先、自分が彼女の事を思い出さない日は無いだろう。

自分が甘やかしがちだった無邪気なあの子は、今何をしているのだろうか。

ふらりと帰ってきてくれたら、どんなに良いだろう。

未練がましい想いは消えてくれない。

つまるところ。

あの子を、愛していたのだろう。特別に。

ーーーー今更、気がつきたくなかったな。

視界が揺れて、ぼやける。

いつまでも泣き虫は治らないし、先輩を忘れる事は出来ない。

だけれど、それを少しは許して諦めれば、この先も先輩のことを引きずりながら、未練がましく想い続けながらでも生きていける。

そんな気がしていた。

角砂糖二人分の、甘い朝を君と(ジビア×モニカ。ジビア視点)前編→←君の影は(サラ×アネット。サラ視点)



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設定タグ:スパイ教室 , 百合 , 二次創作   
作品ジャンル:恋愛
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亜月 - カレンさん» 読みましたよーーー!!!最後!!最後の挿絵、、、、 (2021年12月9日 11時) (レス) id: 1f8ff7c796 (このIDを非表示/違反報告)
カレン - pixivから飛んできました!めちゃくちゃ尊いです... ちなみに亜月さん6巻読みました...? (2021年11月24日 21時) (レス) id: aacf8bdcb4 (このIDを非表示/違反報告)
亜月 - おぉー!ありがとございます、、グレーテ×ティア読んできました! (2021年5月16日 15時) (レス) id: ae5d374ab3 (このIDを非表示/違反報告)
あも - 亜月さん» エルナとクラウス……!!ほんとうにかわいいです、なんかモチベになりました(あ) (2021年5月15日 15時) (レス) id: e2902b121b (このIDを非表示/違反報告)
亜月 - 遥世さん» あぁぁぁありがとう、、そうなんですよ、ジビアさんイケメンに書けるよう頑張りました! (2021年5月2日 21時) (レス) id: 9200735183 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜月 | 作成日時:2021年3月6日 20時

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