зима【3】 ページ44
退院後しばらくは、クラスメートの注目を浴びた。
サッカーどころか一生歩けないかもしれない、ということも公表した。男女問わず慰めの言葉を投げ掛け、中には涙さえ流す女子生徒もいた。
日向「相変わらず、大人気だね」
同じクラスの日向は、群がる生徒たちを時折嘲笑う。
日向「泣いたって堤美が歩けるわけじゃないのに」
日向も泣きたかったのかもしれない。
もちろん、俺は車イスで生活している訳だが、そうなると必然的に誰かに車イスを押してもらわなければならない。
授業のある時は大体同じクラスの日向、休み時間は天瀬か黒裂だ。
車イスを押してくれたことないが、いつも恋崎もそばにいてくれる。昼食の時も日向たちが気を使ってくれて、中庭で一緒に弁当を食べてくれる。
サッカーが出来なくなったという落ち込みを、一瞬でも忘れたことはない。それでも笑っていられるのは日向たちのお陰だ。暖かい気持ちで日々を過ごせた。
そのうち、部活にも行くようになった。もちろん見ているだけだが、後輩たちも体調をたずねたり、俺の元気な姿に安堵する。その度に俺の心の傷は和らいでいった。
数ヵ月たった頃。
足は大分良くなり、望み薄ではあったが俺の希望でリハビリを始めていた。周りには秘密だったのだがある日、恋崎にばれてしまった。リハビリの最中、偶然居合わせたのだ。
堤美「…恋崎か。調子、どうだ？」
恋崎は、黙って俺を見ていた。
俺が、たとえ無意味でもサッカーがしたい、また歩きたいと思うことは自然なことだった。だから、恋崎の言葉には心底驚いた。
恋崎「…何、余計なことしてんだよ」
憎らしそうに俺を睨む恋崎は、気が狂っていた。いや、狂っていなくては困る。
恋崎「せっかく歩けなくなって！誰かの助けがないと生きられない体になったのに！…俺しか見えないようにしてやろうと思ってたのに！」
恋崎は俺につかみかかった。床に倒れこみ、背中を強く打った。看護師がすぐに駆けつけ、恋崎を押さえ込んだ。
あとで黒裂から聞いた話だが、恋崎は俺に歪んだ愛を抱いていたらしい。自分が男である事以前に、恋崎は苦しんでいたそうだ。
黒裂「自分のものにできない苦しみ…堤美にはわからないだろうけど、恋崎は気が狂うほど思いつめたんだ。君と二人きりになりたかったんじゃないかな」
→
題名のзимаはロシア語で「冬」。
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竜１２ - ロダヒラおいしかったです！！！ご馳走様でした！！！！！ (2015年3月30日 12時) (
レス) id: 7dee900fa7 (このIDを非表示/違反報告)
涙音@マジでヤンデレらしい - リリリアンさん» ありがとうございます！たった今続編ができたところなので、URLを貼ります。ぜひいらしてくださいね。 (2014年9月1日 17時) (レス) id: 46d3eda45b (このIDを非表示/違反報告)
リリリアン - 時間かかっても大丈夫ですよ〜。涙音さんの神小説楽しみにしてます！ (2014年9月1日 16時) (レス) id: 9fbcb60bc2 (このIDを非表示/違反報告)
涙音@マジでヤンデレらしい - リリリアンさん» ごめんなさい！でも忘れてませんよ！ギルとザ・ラグーンがまざったり名前が覚えられなんだで苦戦してるだけです…多分…追加分も承りました。しかし、恐らく続編での更新となります。 (2014年8月31日 22時) (レス) id: 46d3eda45b (このIDを非表示/違反報告)
リリリアン - あ、SARUが攻めの方が私は好き、というかSARU受けを想像出来ない← 宜しくお願いしまーす！ (2014年8月30日 7時) (レス) id: 9fbcb60bc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涙音 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/enkorimatsue/
作成日時：2014年2月16日 16時
